医療(健康)保険
A) 法定健康保険
加入者資格
保険内容
保険料金
B) プライベート健康保険
加入者資格
保険料金とその条件
Altersrueckstellung
保険料金返還 (Beitragrueckerstattung)
医療費清算方式 (Abrechnung)
医療費清算問い合わせ (Auskunftanspruch)
プライベート健康保険料金比較
◎ 医療(健康)保険
ドイツに住む人は医療(健康)保険をかける義務がある。
大部分の人、就業者の殆どの人は就職先を通じて、国が指定した法定医療保険 (gesetzliche Krankenversicherung=GKV)を、
法定健康保険組合 (Gesetzliche Krankenkasse)や代替組合 (Ersatzkasse)に入会してかけている。
現在では100社以上となっている。
医療保険には次の2種類がある。
A)法定健康保険 (Gesetzliche Krankenversicherung)
健康保険義務付け限度額(Versicherungspflichtgrenze):
一定収入までの就業者、現在では4.800EUR/月 (57.600,–EUR/年間、税込み)までの収入がある就業者に限定されいる。
保険の内容はプライベート健康保険より待遇などで限定されたものになっている。
保険内容:
どの保険会社でも保険内容は95%はほぼ同じになっている。
保険料金:
基本料金もどの保険会社でも同じで一律14,6%で、就職先と7,3%折半負担となっている。
特別追加料金 (Zusatzbeitrag) 基本料金に加えて、どの保険会社でも医療保険の内容を夫々に自由に追加拡大し、それに伴う特別追加料金を出している。
それは基本料金だけでは補えず、それをカバーするためとされている。
その特別追加料金は、拡大内容と本人の収入により相違があり、1,1%から1,8%位とされている。
基本料金14,6%と合わせると、15,7%から16,4%になり、トータルで保険会社によって料金が違ってくる事になり、
料金を比較する必要がある。
3.000EURの給料で、年間600EURの差も出てくる場合がある。
但し、この追加料金分は全額保険者の負担となる。
又、医療保険支払額は無限ではなく、最大算出給与を4.350EUR/月 (52.200EUR/年間、税込み)までとし、それ以上の給与額でも保険支払い額は変わらない。
契約先は
a) 法定健康保険組合 (Gesetzliche Krankenkasse)
AOK (Allgemaine Ortskrankenkasse) www.aok.de
BKK www.bkk.de
b) 代替組合 (Ersatzkasse)
BEK (Barmer Ersatzkasse) www.barmer.de
DAK (Deutsche-Angestellten-Krankenkasse) www.dak.de
等から選択出来る。
B)プライベート健康保険 (Private Krankenversicherung)
健康保険義務付け限度額(Versicherungspflichtgrenze):
法定医療保険に加入義務付けられていない人、つまり4.800EUR/月 (57.600,–EUR/年間、税込み)以上収入のある就業者、
そして収入に関係なく全ての自営業者、公務員、芸術家などは、A)かB)の保険を選択出来る。
全体の約11%の人が加入しており、法定医療保険の補足、特に歯の治療費用をより多くカバーするために利用する人もいる。
保険内容はA)より待遇などで良くなっている。
保険会社は民間会社で約20社位ある。
保険料金:
法定医療保険の場合は、収入 X 料率のため、収入によって料金が変わるが、プライベート健康保険の場合は、条件に従って料金が算出される。
それは、
加入時の年齢
職業
希望保険内容
健康状態 – 状態が悪ければ、入会拒否もあり得る。
などの条件によって、つまり病気のリスク具合によって決められる。
保険会社によって、料金がかなり違ってくる場合があり、よって同じ条件下での料金を比較する必要がある。 下記、参照。
保険会社の変更、特にプライベート健康保険から法定医療保険への移動は条件があるので注意。 Altersrueckstellungを失う事なくして、保険会社を変更出来るようになった。
◎Altersrueckstellungとは病気のリスクのない若い頃から保険を長年かけていて、病気のリスクの多い高齢になった場合
通常リスクに合わせて保険月額も値上げしたいところだが、若い頃からの長年の保険加入、つまり長年の保険料金支払いを
考慮して、値上げせず今までの保険料金を維持する権利。
高齢で保険会社を変える場合は新しい保険会社はそのリスクに合わせて高い保険料金を適用したいところだが、
これからはAltersrueckstellungの従来の保険料金維持の権利を持参する事で、今までの保険料金が新しい保険会社でも適用される事になった。
つまり自動車保険で今までの無事故での割引料率を他の保険会社でも適用される制度と同じ。
保険料金返還 (Beitragsruckerstattung)
保険会社によっては、病気による保険支払いが少ない場合、ボーナスとして保険料金を一部返還する制度がある。
詳細は問い合わせ要。
医療費清算方式 (Abrechnung)
法定医療保険の場合は、掛かり付けの医者や病院が保険会社に直接請求して清算するが、プライベート健康保険の場合は違ってくる。
請求先は加入者宛となり、加入者が請求書を受け取り次第、医者や病院に支払い、その請求書のコピーを保険会社に提出して返還して貰う。
医療費清算問い合せ (Auskunftanspruch)
医者や病院から治療費が1000EURとか2000EUR以上の高額になると告げられた場合、前以て保険会社に全額保険から降りるのか、前以て問い合わせする事が出来る。
保険会社は緊急の場合は2週間以内、通常は4週間以内に返事を出す。
プライベート保険料金は、各保険内容条件によっても違ってくるし、しかも各保険会社によってもマチマチで、 場合により月100EUR以上違ってくる場合があるので、しっかり比較する必要がある。
条件例
a) 緊急医療 (Ambulante Behaldlung) Standard
Comfort
Top
b) 病院入院 (Stationäre Heilbehandlung) 一人用病室、病院長の診察
二人用病室、病院長の診察
一般病室
c) 歯の治療代(Zahlbehandlung) 返還額少 gering
返還額中 mittel
返還額多 hoch
d) 就業不能による手当(日当) 少 gering(50EUR)
(Krankentagegeld) 中 mittel (100EUR)
多い hoch (200EUR)
e) 入院手当て (日当) 少 gering (50EUR)
(Krankenhaustagegeld) 中 mittel (100EUR)
多 hoch(200EUR)
d) 自己負担額/年 (Selbestbeteiligung) 100EURまで
400EURまで
800EURまで
1500EURまで
1500EUR以上
e) 性別、年齢、職業、収入、健康状態(診断書提出要求される場合ある)
f) 家族保険の有無 お子さん、パートナーなど、その年齢
Berufstand (職業)
Angestellter ab 57.600EUR (会社員)
Selbststandiger (自営業)
などを選択
Geburtsdatum (生年月日)
カレンダーから選択
Versicherungsumfang (条件)
Selbstbeteiligung (年間自己負担額)
などを選択
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保険会社名と料金が表示される。
<追加>
最近医者、病院などで患者に対する待遇がプライベート保険者を優遇している事が調査で判明し、社会的問題になっている。
最初の電話又は飛び込みで診察のアポイントを取る際に、最初に保険会社の問い合わせがあり、法定健康保険の場合は
すぐにアポントを取れず待たされ、プライベート保険の場合はすぐに診察を受けられるケース。
使用する薬も高いものは法定保険では支払い拒否される事もあり安いものを、プライベート保険はその恐れはないので、
高い薬を使うなど。
<追加>
最近又法定健康保険者が医者から差別待遇を受けた。 赤ちゃんの皮膚病で母親が皮膚科の医者に電話をして、
その日の午後に緊急のアポントを取った。医療保険の内容を再確認するため、病院からすぐに電話があった。
そこで、母親が、自分は法定健康保険者だと告げたところ、その日の午後のアポイントはキャンセルされ、 来週になると告げられた。 その後母親は医療相談室などに苦情を出したが、病院側の適当な言い訳で正当化 されてしまった。
<追加>
最近の更なる調査で、医者、病院などは患者の診察料として、法定保険から受け取る額よりも、プライベート保険から受け取る金額の方が倍以上多い事が判明した。
法定保険は支払い金額を限定している場合が多く、そのまま請求出来ない事情があり、ここに待遇の差が出てくる大きな原因がある。
つまり保険はプライベート保険にするように暗示している訳。しかし一方プライベート保険患者がいなければ、相当の医者や病院が倒産してしまうとの予測もある。
<追加>
家族保険 – 法定医療保険では、独自の収入のない、又は少ない家族の人は別途の保険料金なしに一緒に保険がかかっている。
妻又は同棲者で収入が400EURまで (Mini-Job)
孫や義理の子供は別途に受領資格の調査が入る。
プライベート医療保険では、別途料金がかかる。
<追加>
法定医療保険AOKが各薬品会社との交渉の結果、今後AOKが指定する一薬品一メーカーの薬しか患者は服用出来なくなった。
これはAOKが各メーカーとの64種類の薬の割引制度(Rabattverträge)を再交渉の結果、整理し直されたもの。
薬局はAOKから指定された以外の薬の販売が、その患者には出来なくなった。
これにより患者はこれまで慣れてきた薬を指定された他のブランドに代えるか、見知らぬ薬に慣れる必要が出てきた。
でないとAOKからの支払いが拒否される。
どうしてもAOK指定以外の薬を服用する場合は正当な理由付けが要求されている。
これによりAOKは100億円以上の節約を見込んでいるが、これは薬品がドイツではそもそも高い事が原因となっている。
<追加>
新しい処方箋薬剤法令。 大混乱!
患者が薬品を服用するには、係りの医者の処方箋が必要。
しかし同じ薬品で別メーカー製で安いものもある。 よって国は法定保険会社の大幅な経費削減をするため、
別の薬品メーカーの安い薬品を多く採用する事を決めた。
そして医者から従来の高い薬品の処方箋があっても、薬局はその代わりに国が新しく指定した安い薬を販売するように新しい処方箋薬剤法令で義務付けた。
これが大混乱の基。
薬局によっては、新しい薬品の情報が伝わっていない。
国の指定する薬品の選択に時間がかる。
患者は何故別の薬を出されるのか理解出来ない。 薬局が時間をかけて説明する。
同じ成分の薬でも、色、梱包などが違う別の薬品に拒否反応があったり、使い方を間違ったりする。
患者が従来の高い薬を求める場合は、国の指定する安い価格との価格差を自分で負担せねばならない。
<追加>
○ 電子健康カード (elektronische Gesundheitskarte (eGK) )(Versicherungskarte)の導入
1995年1月より導入されている、今までの健康保険カード (Krankenveresicherungkarte)に代わって、2014年1月より健康カード (Gesundheitskarte)が導入される。
本人の写真が貼られる。よって保険会社から写真提出の要請がある。
過渡期として、2014年10月まで今までの健康保険カード (Krankenveresicherungkarte)が認められ、使用出来る。
但し、法定医療保険加入者に限り、プライベート保険加入者には適用されない。
医者や病院に行く場合には必ず持参して、保険会社名を明示します。
A)の場合は支払いは保険会社から直接医者や病院に行われます。
B)の場合は支払いは被保険者がいったん医者や病院に行い、その請求書や領収書で保険会社から払い戻しを受けます。
その際自己免責額があれば、その分差し引かれます。
これは所有者の健康、病気、治療経緯などのデータがカードに保存されるため、各医者で情報が共有され、簡素化され、二重診断防止にもなり、コスト削減にも繋がる。
医者の診察の際には必ずこのカードを示す事が義務付けられる。
<追加>
法定保険会社の選択とサービスの違い
各保険会社の顧客サービスの違いも比較する必要がある。
例:
1.時間外や週末時での医療を仲介しするサービスを提供してくるか。
2.処方箋にある薬品は100%負担してくれるか。 自分で負担する分はないか。上述の保険会社の割引制度(Rabattverträge)に注意。
3.病気の際の子供介護費用援助制度の有無。
4.外国旅行で、行き先国によっては義務付けされているマラリアなどの予防注射費用の負担の有無。
5.健康維持(定期的にフィットネスなど)、病気予防(予防接種など)へのご褒美(スポーツバッグ、脈拍計測器などのプレゼントなど)又は経費一部負担の有無。
6.法定保険者がすぐにアポイントを取れない、待たされるケースが多いが、緊急の場合にすぐにアポントを取れる医者の仲介サービスの有無。
7.24時間ホットラインの有無。
8.遅くとも2009年7月より、保険会社独自の医者とその料金の紹介。 明朗会計が保証される。
9.針治療や類似治療もカバーされているか。
<追加>
○ 性別均等料金 (Unisex-Tariffe)
2012年12月21日より、全ての新規保険契約に男女平等の均等料金が適用される。
これまでは、男女の違いで保険のリスクに相違があったため、その為料金にも差を設けてきた。
これは不平等をなくすEU裁判所の判決に基づく。
例:女性の平均寿命が男性よりも長いため、健康医療保険をそれだけ長く利用する事になり、料金は女性用が男性用よりも高かった。
よって通常男性用の料金を女性用料金に合わせるため、男性用料金がこれまでより上げられ、女性用料金は今までより下げて、料金が統一される見込み。
例:健康医療保険
あるいは逆の場合もある。
例:自動車保険
統計で女性の方が事故率が多いので、女性用料金がこれまでより上げられ、男性用料金が今までより下げて、料金が統一される見込み。
しかし、すでに契約されている保険には料金の変更はなく、あくまで新規契約の保険に適用される。
比較
現在契約されている料金と新規契約した場合の料金を比較し、新規契約の方が安ければ、保険会社と保険の切り替えを交渉は可能。