ドイツ人の友人のこと(2)
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メールと電話をもらう

カナダから戻った後も何度かやりとりがありましたが、彼女の置かれた生活環境を心配をしつつも、少し距離をおいた方がいいのかなとも思える再会でしたので、複雑な気持ちでした。

そんな中、家に帰ると留守番電話に彼女からメッセージが。来年、ドイツに一時帰国して自分の50歳の誕生パーティーをするから、ぜひ来てくれということ。彼女の出身は、確かバイエルン地方のどこかだったので、まあまあの距離ですが、いろいろ悩んで返答はしていませんでした。

そもそも日時も決まっておらず、あの状況で本当にドイツに帰国できるのかもはっきりしません。

日程をもらってから、決めようということになりましたが、結局連絡はありませんでした。

友人のFacebookアカウントが多数出現

しばらくして、クリスマスくらいにメッセージを送ろうと思い、Facebookでアカウントを探すと彼女のアカウントは消えていて、その代わりに誰かが勝手に彼女の名前で作ったと思われる偽アカウントが10個近くできていることに気がつきました。500人くらいの友人がいるアカウントや彼女の写真、それを見て、やっと見つけたと言って、メッセージを書き込んでいるドイツの友人も見られ、意図はわかりませんが、明らかに彼女自身のアカウントではないとわかりました。2019年にあった時もアカウントが乗っ取られたと話していましたし、本人は連絡用のみ使っていたので、投稿はありませんでした。

これでますます不安になってしまいました。

日曜日の朝、Whtat’s upにメッセージが

先週の日曜日メッセージが入っていました。朝から長い文章でした。誰かなと思ったら、同じ時期にカナダに住んでいて、このドイツ人の友人ともつながりのある共通の友人でした。彼女はオーストリア出身で現在はドイツ在住。

そんな彼女からのメッセージは、ドイツ人の友人、Nさんが亡くなったという悲しい知らせでした。

4月の中旬に遺体で発見され、アルコールとドラッグの過剰摂取だったそうですが、おそらく自殺と思われるとのことでした。

あんなにポジティブなエネルギーを周囲の皆に与えていたヒッピーの彼女が自殺だなんて、信じたくありませんでした。

しかし、3年前の彼女の生活環境を見て、いつ亡くなってもおかしくはないなと正直思っていました。

コロナパンデミックで孤独になり

再会した3年前はコロナパンデミックの9ヶ月くらい前でしょうか。

職を失い、ドイツへの一時帰国も結局できなかったようです。しかも、ドイツでは彼女のお父さんが入居する老人ホームに居候するという形でしたので、外部からの訪問も制限されていました。

コロナになってから更に就職が難しくなり、孤独になり、アルコールとドラッグに溺れていったようだと書いてありました。

カナダでは身寄りもなかったので、ドイツの兄弟に知らされたのは、1ヶ月以上後。

近しい人が、Facebookで彼女と同じ苗字の人を探して、メッセージを送ってくれた人がいたようです。おかげで、お兄さんがすぐカナダに飛び、彼女の遺骨をドイツに持って帰ることができたということです。

あまりにも突然で悲しいニュース。

亡くなった日は、我々家族が15年ぶりにカナダに到着した日と同じでした。つまりその日から3年のカウントダウンが友人のNさんに始まっていたことになります。

ありがとう

できれば、20年前の楽しい思い出のままでいたかったですが、3年前に再会出来て良かったと思っています。

50代前半とまだまだ若いNさんでしたが、好きなことを好きなだけして、自由に暮らしていたのかもしれません。その反面、繊細で不安なことも抱えていたのだろうと思います。

いつもたくさんの人に囲まれていたヒッピーのNさんは、一人寂しく旅立ってしまいました。

しかし、我々も含め、当時世話になった人は彼女のことを一生忘れません。出会えたことに感謝して、いつか彼女の故郷を訪ねたいと思います。