職業 – 雇用・解雇・職場いじめ
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Ein-Euro-Firma (1ユーロ有限会社設立)

これまでの25.000EURの最低払込資本に対して、1ユーロの資本金と設立申請書があれば、独立して自営業、会社を営む事が出来る。 

これをUnternehmersgesellschaft (UG)又は1-Euro-GmbH又はMini-GmbHと呼ばれる。これは最近急激に減ってきた会社設立を促進するために簡素化した。 しかし、その代わり書類申請が慎重になり、書式での明白な設立理由説明に公証人(Notar)のよりの認証が必要となる。

ドイツでは会社形態は殆どが有限会社(GmbH)で、株式会社(AG)は殆どが代会社に限られている。

問い合わせは各ドイツ商工会議所でこちら

右上の都市と州を選択すれば、更に都市が表示されるので、選択してクリック
自動的に各都市の商工会議所の、住所と電話番号があるホームページが表示される。

 

ドイツ雇用契約と解雇 (Arbeitsvertrag)

無期限(unbefristet)と2年などの期限付き(befristet)がある。
雇い主(Arbeitsgeber)と労働者(Arbeitsnehmer)間で契約が結ばれる。 口頭でも可能で有効だが、書式での契約が通常。

内容 (Inhalt) :
雇い主の名前と住所 (Arbeitsgeber)
労働者の氏名と住所 (途中変更は連絡の要あり) (Arbeitsnehmer)
勤務期間(befristet)がある場合はその期間 (Arbeitsdauer、通常は期間設定なし(unbefristet))
勤務地 (Arbeitsort、転勤の可能性の有無)
勤務開始日 (Arbeitsbeginn)
勤務時間 (Arbeitsstunden)
給与額 (Arbeitslohn)
ボーナス (13. Monatsgehalt、Weichnachtsgeld、月末ボーナスの有無)
残業手当 (Überstundenの額)
出張手当 (Reisekostenzuschüsseの有無と額)
勤務手当 (Fahrtkostanzuschüsse、勤務交通費、ガソリン代などの有無と額、但し国の税控除もあり)
休暇日数 (Urlaub、通常26-30日)
アルバイト (Nebentätigkeit、勤務に支障のない範囲でのアルバイト許可の有無)

<追加>
週末勤務手当 (Zuschlag Wochenende)
明白な決まりはない。 一般的に基本給の25% – 60%、需要と景気により100%の場合もある。
更に、日曜勤務の場合は50%アップまでは無税、祭日・深夜は25%アップまで無税。それ以上は課税となる。
自営業はこの税控除は全くなし、全て通常通り課税対象。

その他の重要な取り決め:
仮採用期間 (Probezeit、通常6ヶ月、この間は理由付けなしに2週間前に双方から解約が可能)
仮採用期間後の給与値上げの有無とその額 (Gehaltserhöhung nach Probezeit)
競争禁止条項の有無 (Wettbewersverbot、退社後、通常一年は競争相手会社への転職を禁止)
会社情報守護義務の有無(Verschwiegenheitspflicht、外部には漏らさない義務)
貯蓄制度の有無 (Vermögenswirksame Leistung)
社内年金制度の有無 (Betriebliche Altersvorsorgung)
仮採用期間が過ぎると、それより二週間前の解約通知がなければ、そのまま自動的に本採用になります。

Vermögenswirksame Leistung (VL又はVWL) 貯産形成貯蓄制度

目的:
雇い主側が勤労者に給与とは全く別途に追加して、日本と同じように勤労者の貯蓄促進、持ち家促進の目的で支払う貯産形成貯蓄制度。
勤労者はそれに任意的に追加して更に貯蓄額を増やす事も出来る。 この場合の金額は給料から天引きされて、雇い主が一緒に支払う事になる。

支払い先:
支払い先は、勤労者が彼の銀行に特別にこの受け皿として設置されたAnlagekonto(投資口座)に、雇い主から送金される。
そのため銀行はこの口座用に利子を付けるため、Sparvertrag(貯蓄契約)を勧める事が多い。

支払い期間:
支払い期間は6年間で、更に1年の待ち期間があり、トータル7年となり、勤労者はその後Arbeitnehmersparzulage(勤労者貯蓄手当て)分も
含めて(後述)、全額の支払いを、無税で受ける事が出来る。
よって3-5年滞在の日本人には向きません。

適用条件:
これは但し税込み年収で制限が設けられている。
17.900EUR以下(2009年からは20.000EUR)の独身者
35.800EUR以下(2009年からは40.000EUR)の既婚者
更に自由業、自営業、年金者にはこの制度への資格はない。
又、勤労者にこの権利があるかどうは、その業界又は会社の給与契約制度(Tarifvertrag)が決められているかどうかに依る。
しかし、それとは別に任意的にこの制度を導入している会社も多い。
よって労働契約で雇い主側と決める事も出来る。

この制度の存在を知らない勤労者が多いが、会社に一度問い合わせてみる必要がある。
自分の知らない内に、しかも自分の負担なしに(別途任意追加負担を除く)、雇い主と国の負担で貯蓄が出来る大変便利は制度。

申し込み:
申し込みは原則的に各銀行に申込書が置いてあり、担当者と相談しながら記入し、振り先口座も明記の上、雇い主に提出する。
金額は業界又は会社の給与契約制度(Tarifvertrag)が決められているので、問い合わせが必要。或いは新たに合意の上、決める事も出来る。
但し最高額は40EUR/月まで、公務員は6,45EURまで。

適用・至急開始日:
会社が勤労者に対して適用するのは、大抵6ヶ月間の試用期間(Probezeit)が過ぎた7ヶ月目から支給し始めるのが普通となっている。

業界により名称・目的変更:
2006年10月1日からは金属・電機業界では、この制度をAltersvorsorgewirksame Leistung (AVWL)に変更された。
これは貯蓄促進ではなく、老齢準備金が目的にされた。
化学業界もこれに追従した。

更に国からの追加援助:
Vermögenswirksame Leistung (VL又はVWL)は、雇い主からだけではなく(最高額40EUR/月まで)、条件を充たせば、
更に国からもArbeitnehmersparzulage(勤労者貯蓄手当て)として、7年の満期後に同時に支給を受ける事が出来る。
Vermögenswirksame Leistung (VL又はVWL)は、雇い主により特別口座に定期的に振り込まれたものを勝手に使ってしまったりする事は出来ない。
7年の満期期後の使用目的又は貯蓄方法よりBausparvertrag(住宅貯蓄)、Aktienfondssparen(株式・フォンドへの投資貯蓄)、
Banksparpläne(銀行独自の貯蓄法)、Tilgung(現住宅ローン返還)などの形で貯蓄せねばならない。

Bausparvertrag(住宅貯蓄)、Aktienfondssparen(株式・フォンドへの投資貯蓄)及びTilgung(現住宅ローン返還)を選択した場合は、国から更に追加手当がある。
それがArbeitnehmersparzulage(勤労者貯蓄手当て)と呼ばれるもの。

○ Aktienfondssparen(株式・フォンドへの投資貯蓄)の選択の場合 – VLの支払年額、但し400EURまでの18%(2009年からは20%)、
つまり72EUR(6年間で432EUR)まで(2009年からは80EUR)

○ Bausparvertrag(住宅貯蓄) の選択の場合 – VLの支払年額、但し470EURまでの8,8%(2009年からは9%)、 但し絶対に住宅に使用する必要はないが、支給額が他より少ないのに注意

が、満期後に国から追加として支払わられる。
但し、これにも上述した税込み年収以下の勤労者に限定される。

○ Banksparpläne(定期預金などの銀行独自の貯蓄法)の選択の場合 – 国からの援助は全くない。

その後の本採用での解雇条件 (Kündigung) :
雇い主が労働者を解雇出来るのはあくまで経済上の理由のみ。

解雇通知:
雇い主は労働者を経済上の理由だけしか解雇出来ない。
本採用後初年度は一ヶ月前
2-9年後は二ヶ月前
その後は三ヶ月前
が原則で、但し例外的に会社との合意で決めても良い。

即時解雇 (Fristlose Kündigung) :
但し下記の場合は、雇い主は前以ての警告なしに、勤務者を即時解雇出来る。
勤務者に犯罪があった場合
営業上会社に対して不誠実があった場合 (競争相手に情報を漏らすなど)
会社に対して脅迫した場合 (内部情報を外部に漏らすなど)
勤務モラルに反した場合 (警告にも拘らず、出勤時間を守らないなど)
面接時にウソがあった事が判明した場合 (但し思想、宗教、政党支持、家族、親戚などの私的な事はウソを付いても良い事になっている)
(同じ生活メモの<間違った法律上の先入観>の雇用3を参照)

逆に解雇出来ない場合:
徴兵、ボランティア活動前後の4週間
病気の間 (但し期限限定あり)
妊娠中と産後16週間
又労働には関係ない本人の特徴 (肌の色など)

雇い主に給与の支払い遅延があった場合 (Verzug der Lohnzahlung) :
書式にて給与の即刻支払いを要求する。
支払い遅延が2ヶ月以上になる場合は、勤務を拒否出来る。 但しこれも前以て勤務拒否の連絡を書式にて行う。
勤務拒否期間中でも雇い主は勤務者にその間の給与の支払い義務も生じる。 勤務者は後にその分働いて相殺する必要はないし、
また給与支払い遅延によって生じた費用も損害賠償(Schadenersatz)として請求出来る。
但し弁護士に相談したり、裁判になった場合は、裁判費用(Gerichtkosten)は雇い主が負担するが、弁護士費用(Anwaltkosten)は自己負担となる。
又、給与の遅延の理由で、勤務者側から雇い主に即刻契約破棄(Fristlose Kündigung)をする事が出来、次の職が見つかり、収入があるまで、
その間失った給与分(Lohnausfall)も追加請求出来る。

雇用契約に明記された勤務開始日も雇い主の都合で、後日に遅れた場合も同様の処置となる。

*ドイツ人は従来仮病による欠勤が多く、特に月曜日と金曜日に集中しており、日本企業でも悩んでいたが、最近の統計によると、著しく減少。
今や一人平均3.7日だけとなっている。これは失業率が減少しているにも拘わらず、大量のリストラが多くの企業であり、自分もリストラされる怖さが影響している思われる。 

従業員の解雇(通知)期限が変更される!

現在の民法622条で下記のように雇用主からの従業員に対する解雇(通知)期限が定められている。
雇用主は従業員或いは労働者を4週間の期限で、15日又は月末に解雇出来る。 つまり、毎月15日か毎月月末に1ヶ月前に解雇通知を行う。
実際の解雇はよって解雇通知から1ヵ月後になる。
しかし、就業年数によって、解雇(通知)期限は下記の通り定められている。

2年就業の場合は月末に1ヶ月の期限で解雇出来る。
5年就業の場合は月末に2ヶ月の期限で解雇出来る。
8年就業の場合は月末に3ヶ月の期限で解雇出来る。
10年就業の場合は月末に4ヶ月の期限で解雇出来る。
12年就業の場合は月末に5ヶ月の期限で解雇出来る。
15年就業の場合は月末に6ヶ月の期限で解雇出来る。
20年就業の場合は月末に7ヶ月の期限で解雇出来る。

☆上記の就業は年数は従業員/労働者が25才になってから、計算される。
但し仮の雇用契約の間(Probezeit)(最長6ヶ月)は2週間前に解雇通知を行う。
これらの定められた解雇通知期間は、この規定とは離れて各雇用契約によって、雇用主と従業員の間で別途に合意の上決める事が出来る。
ところが、上述の<☆上記の就業は年数は従業員/労働者が25才になってから、計算される>の条項に注意。 25才以上の従業員は10年勤務なら4ヶ月の解雇通知期間になる筈が、
18才で入社し28才で解雇された場合、同じ10年勤務でも解雇通知期間は3年勤務と計算され、たったの1ヶ月となる。
これは不平等になり、今後改正される事になった。 改正有効期日はまだ不明。
それまでは現民法が有効となるが、25才以下の従業員が解雇された場合は、労働裁判所に異議を申し立てすれば、計算外になった年数の金銭的な弁償を受ける事が出来る。

ドイツ会社の従業員解雇判例

会社員・従業員が解雇されるケースとは?
(実際の裁判判例)

1.会社に病気欠勤しているのに、スキ-休暇に出掛けた。
病気欠勤中はなるべく早くまた健康になるように努力する事が求められる。

2.同僚に暴力を振るった場合。 仕事外、会社外でも関係ない。

3.会社から与えられた携帯電話を極端に多く私的に使用した場合。会社より予めその由告げられていなくても有効。

4.上司や同僚の悪口・中傷や企業内部の情報をブログ、掲示板、HPなどのインターネットで公表した場合。

5.社内で会社のPCを多くの時間、私的にインターネットに使用した場合。 解雇の前に警告が必要。但しポルノサイトにアクセスしていた場合は警告なしに解雇出来る。

6.上司からの仕事の依頼に、極度に反抗したり、モラルに欠ける場合。

7.仕事中に従業員が犯罪を犯した疑いのある場合。 但し、その疑いに正当な理由が必要。

8.会社の事務用品(ボールペンなど)や会計から10EUR盗んでも、商品の価値、金額に拘わらず即刻解雇の理由になる。

9.私的な手紙を会社の切手を貼って郵便に出した場合。

10. 仕事の出張中で、過度の飲酒をし、仕事に悪影響を及ぼした場合

インターネット使用について

会社のPCで仕事中、プライベートでのインターネットはどの程度許されるか?
雇用契約書にインタネット使用を禁止する場合がある。この場合でも絶対に使用禁止にはならない。
例えば、緊急の場合など、家族とメールで連絡取り合う事は許される。
或いはインターネットで自分の銀行口座の状況を検索する事も許される。
但し、長期利用などは、勤務時間中に仕事をしない事になり、雇用契約違反で解雇(Kuendigung)の対象になる。
但し上司は各従業員のインターネット使用状況を監視する事は、個人情報保護権のため許されない。
会社が雇用契約上などインタネット使用を禁止していない場合でも、何時でも自由にインターネットを利用出来るものではない。
会社のPCでポルノサイトへのアクセスなどで、会社のイメージを阻害する場合は解雇(Kuendigung)の対象になる。
しかし、一般的に一日平均40分位はプライベートで会社でインターネットを利用しているとの統計もある。
この場合、従業員のモチベーションは高く、残業する気持ちもあり、自宅で一日平均50分位インターネットを利用しているが、
仕事上で利用しているケースも多いとの事。
インターネット利用を禁止している会社では、従業員はこのようなモチベーションはなく、残業する気持ちもない。
但しプライベートでインタネット利用中にウィールスに感染した場合は、その損害は個人で負担する事になる。 業務連絡のメールで感染した場合はその限りではない。
又、不正にフィルム、音楽、PCプログラムなどをダウンロードし、著作権保持者に判明した場合は、著作権保持者には、ダウンロードした従業員ではなく、
PCの所有者会社が責任を負う。 更に会社は繰り返さないように書面で署名させられる(Unterlassungserklaerung)。
よって二度目の場合は損害賠償が発生し、金額によっては会社の存続に危険が及ぶ場合がある。
従業員はしかしその後会社から即刻解雇通告を受ける事は確実。

Bullying、Mobbing、Bossing (学校・職場でのイジメ)

職場でのイジメはドイツでは一般論として罰則は決められていない。 ただし一つ一つの個別のイジメでは、状況次第で告訴出来、
罰則が適用される事がある。 但し具体的なイジメの証拠が必要で、通常ジワジワとイジメが入るので、証拠立てが困難なので
イジメの張本人が罰せられる事は殆どなく、その後も平然とイジメを続ける事が多い。 また同僚が復讐を恐れて、証人となる事を避けてくる。
但し職場の責任者は、ドイツ基本法で各就労者が心理的な重圧を受けないように充分に管理する事が義務付けされている。
つまり各就労者の人権、健康、名誉を保護する事が義務付けされている。
フランスやスウェーデンのように、ドイツにはイジメ保護法というのはないが、労働保護法で守られる場合がある。
イジメのある会社では当然社内の雰囲気は正常でなく、会社の営業にも悪影響を及ぼす事になり、健康ないい会社とは云えず、責任者の責任は
重大であり、それを管理出来ない責任者は無能力者という事になる。
最近、職場でのイジメが増大しており、精神的な苦痛を受ける人、そのために病気になる従業員が増えている。
にも拘わらず、会社が対応を怠った場合は、会社に損害賠償(慰謝料など)を請求出来る。
イジメの裁判件数も増え、判例はイジメを受けている人を保護する傾向にある。

Mobbingは会社の同僚達によるイジメ、Bossingは上司によるイジメ。
イジメ、嫌がらせは、故意の部署の移動、警告、暴行、セクハラ、暴言、悪口、批判、更に責任の押し付け、話しかけない、挨拶しない、
孤独にさせる、無視なども含めて広範囲に及ぶ。
原因はその人が好きになれないという単純なもの、何らかの僻み、嫉妬心などによるものなどなど・・・。
Mobbingには弱い者を余計にイジメたくなる傾向もあるようなので、苦痛を受けて弱っているのを見ると、ますます図に乗る事が良くあるので、
くよくよせず<必死の覚悟>で強く対抗していく事も一つの有効な対応策。 イジメをする人もそれが社内で大袈裟に、表沙汰になる事は
避けたい筈で、これはただ者ではないと、逆に一目置くようになり、仲良くしてくるかも知れない。

Bullying(学校でのイジメ)
最近では、小学校などでもイジメが増えており、3人に1人が被害に遭っているという調査の結果が最近出ている。 Bullyingと云われる。 その内の半分は被害の常習者。

解雇の代わりに、会社がイジメ(Mobbing)で自主退職を促す方法

会社が人員整理したい。 しかし解雇するにはいろいろ面倒だし、退職金(Abfindung)もかかる。
そこで職場での上司によるイジメ(Mobbing)が発生する。 (上述の<些細な事で解雇>記事参照)

その方法は:
他の嫌な都市への赴任を命じて、会社を辞めるのを待つ。
対策: 転勤の理由の詳細を聴く。 他の氷魚とではなく、何故自分なのかも。

新しい、複雑な、全く未知な分野の仕事を押し付けられる。
対策: 仕事は相応でなければならない。 新しい職務は給与アップを要求出来る。

仕事場を暗い、不衛生な、騒音のある場所に移転を命じられる。
対策: イジメは明白だが、上司の悪意を証明する事は難しい。

仕事に必要な情報が回ってこなくなった。
対策: 自分の仕事に悪影響を及ぼすので、すぐに反応する事。 イジメではなく、悪い組織上の問題である可能性もある。
イジメの定義は困難。 イジメられていると思っても、相手はその意識がないかも知れない。
だから慎重に相手と話してみる。 それから会社の上の者又は弁護士に相談する。

同僚によるMobbingの予防:
自分に関する噂をなるべく多くの同僚と皮肉的に話してみる。
情報を集め、話題を豊富にすれば、通常は同僚に好まれる。
中傷、Mobbingする相手が分かっている場合、その張本人と話し、理由など話し合う。 但し決して二人ではなく、なるべく多くの同僚を同席させる。
相手の弱点を見つける。 私用電話をしてるか、仕事中私用にパソコンを使用していないかなどをチェックし、反論の材料を用意する。
会社に友人を作る。 同僚に好まれる事もする。 人脈を作っておく。
中傷、Mobbingにユーモアを示し、楽しんでいるように見せる。 憂鬱や怒りを見せると却ってよりつけ込まれる。

ドイツ企業で専門精神医による治療が必要なBurn-Out従業員が増える!

Burn-Outと英語が使われているが、<燃え尽きる>の意で、つまり従業員が燃え尽きるとは、日本での<過労症状>に非常に似た状態にある人の事。
ちょっと違うのは、 日本で云う過労は、文字通り残業も多い働き過ぎによる疲労困憊の状態を云い、ひいては死に至る事を<過労死>と呼んでいる。
ドイツのBurn-Outは、働き過ぎによる身体的な疲労だけではなく、或いはうつ病(Depression)だけでもなく、むしろ様々な要素による精神的な重圧感や過度な
ストレスを云う。
これも精神的に正常に仕事出来る状態ではなく、これは正式な精神的な病気で、専門精神医による治療が必要となる。

その治療のために長い病欠になる従業員が増えて、そして治療に長い日数もかかり、ドイツ企業内で問題となっている。
よって、過労の原因となる残業を禁止する企業、休憩室やトレーニング室を設ける企業、独自に精神科医を置く企業なども増えている。

給与・税金

主な都市の平均収入、アパート平均家賃、負担率の比較

アパートの家賃負担がヒシヒシと家計を圧迫
不動産組合(IVD)の調査によると、収入に対し平均36%がアパートの家賃にまわると云う。

主な都市の比較 (単位EUR)
都市 平均手取り収入 アパート平均家賃 家賃負担率
Berlin 1496,43 607,50 40,60%
Hamburg 1734,35 697,50 40,22%
Düsseldorf 1994,48 727,50 36,48%
Frankfurt/M. 1806,44 750,00 41,52%
Nürnberg 1763,16 661,50 37,52%
Stuttgart 1883,63 817,50 43,40%
München 2138,37 892,50 41,74%

ドイツの最低賃金法 (Mindestlohn)

最低賃金法 (Mindestlohn)とは、労働者が最低でも生活が出来る最低賃金を保証する政府の法令で、労働者の最低生活を保証するものです。
19世紀後半、20世紀初頭に過剰だった労働者が最低生活基準を下回る賃金を是正しようと、何度かのストライキによって勝ち得てきた権利です。
第二次大戦以降、この法令を導入する国が増えました。

ドイツでは政府が定めたこのような最低賃金法はありませんでした。
長所: この法令で低所得者層の購買力が向上し、経済を活性化させる。
短所: 労働市場の自由化を妨げ、より質の良い労働者に集中、失業率が増える。

しかし、CDU(保守系)とSPD(左翼系)の大連立政権のドイツ政府内で、SPDからこの法令の導入の働きかけがあり、
反対するCDUとの長い交渉の結果、妥協が成立、私営化が予定されている国営企業Deutsche Post(郵政公社)の郵便配達人に限って採用される事が決まった。

時間給で8,00 – 9,80EURになる模様。<追加>
ノールドウェストファーレン州(NRW)では、約131.000軒の飲食店、ホテルなどでは即刻パートタイム最低時間給をこれまでの5,33EURから6,30EURに引き上げられた。
フルタイム従業員の最低月給は、特別な資格のない者(Tarifgruppe A)は1.065EUR、何らかの資格を有する者(Tarifgruppe B)は1.257EUR(時給7,43EUR)となった。

ドイツの短時間労働 (Kurzarbeit)とは?

不景気下で企業が従業員を解雇するのを防止するために、政府が設けた非常事態の処置。
企業は従業員を解雇しない代わりにある一定期間だけ労働時間を短縮又はゼロにし、給与も短縮又はゼロに出来る代わりに政府労働省が肩代わりして支払う。
それには企業が申請を出し、理由が正当かどうかが厳重に審査され、又状況改善により正常の労働時間又戻る見通しがある事が必要となる。
見通しがない場合は、政府よりのこの援助は無駄にある可能性が大きく、申請は却下される。
現不況下でこの制度を利用する企業は特に自動車産業を含め、大幅に増えている。
支払い金額(Kurzarbeitergeld)は減少額(ネット)全額がカバーされるわけではなく、60%が支給される。
支払い期間(Bezugdauer)は6ヶ月。 しかし例外処置として24ヶ月まで延長出来る。
しかし本来この制度は2009年まで有効で、2010年より廃止される予定だった。
しかし現不況下で失業の多い経済状況で、今後の解雇増大を防ぐため、政府は2010年もこの制度を延長し、2010年末まで申請を受ける事になった。
その代わり支給期間は2010年より24ヶ月ではなく、18ヶ月に短縮される事になった。
産業界はその制度の2010年延長を歓迎している。

<追加>
関係官庁がドイツ全国850社をKurzarbeitergeld(短時間労働賃金)不正流用で捜査!
検察、税関、労働省はKurzarbeitergeld(短時間労働賃金)不正流用の疑いでドイツ全国で850社を一斉捜査、NRW州(州都デュッセルドルフ)だけでも
288件にも上り、州別ではトップ。

つまり短時間労働者と見せかけて、Kurzarbeitergeld(短時間労働賃金)を労働省から不正に受け取り、実際は通常労働者として長時間働かせていた。
2007/2008年の経済危機に、各会社は盛んにKurzarbeit(短時間労働)を導入し、政府も6ヶ月までだった期間を24ヶ月に延長した経緯がある。
短時間労働者(Kurzarbeiter)は原則として、短時間労働で減った分の収入の60%が政府から支払われる。
しかし、2009年5月に140万人の短時間労働者(Kurzarbeiter)の登録があったが、景気回復で2010年5月には48万人にまで下がった。
今回の捜査は匿名の内部告発があったためだが、捜査当局にとって、証明は非常に困難とされる。
関係労働者が会社よりの解雇を恐れて、会社の不利になる事を証言しないからだ。
或いは、60%のKurzarbeitergeld(短時間労働賃金)に、更に40%を内輪で、つまり無税(Schwarz)で<口止め料>として企業が支給している場合もある。

所得税(Lohnsteuer)

利子などの資本収入税(Abgeltungsstuer、別項参照)などと共にEinkommensteuer(収入税)の一種。
自営業・自由業でない就業者が収入額、税等級(Stuerklasse)に応じて支払う税金。
但し、年間7.834EUR、Steuerklasse IIIの場合は2倍の15.328EUR以下(Freibetrag)は所得税が免除される。
更に商業上必要経費(ArbeitnehmerPauschalbetrag)として一律920EURが税控除の対象となる。
但し実際の経費がこの金額を上回った場合はその金額を申請出来る。

1.所得税が控除される最高年収額がアップされた。
年収額7.834EURから8.004EUR(独身)に引き上げられた。
既婚者は年収16.009EURまで所得税が控除される。
これにより所得税が免除される人が増える事になる(減税処置の一種)。

2.所得税が控除される医療(健康)保険年間保険料の税控除限度額がアップれた。
これによりネット収入額が一部の人に増える事になる(減税処置の一種)。
(詳細はトップ – 医療(健康)保険参照)

その他、参考まで2010年1月よりネット収入が増える処置として、

1.児童手当(Kindergeld)の支給額がアップされた。
(詳細はトップ – 生活メモ・児童手当参照)

2.税控除の子供養育費限度額(Kinderfreibetrag)が6.024EURから7.008EURにアップされた。
(詳細はトップ – 生活メモ・税控除の子供養育費限度額参照)

税込み給与額より、所得税、各社会保険の金額をこちらで算出出来ます。
Brutto-Arbeitslohn (税込み月収)を入力
Steuerklasseを選択
I – 独身、別居中の既婚者、離婚者、寡婦/鰥夫
II – 児童手当受けている子供を持つ一人暮らしの者
III – 既婚者、但し片方は収入なし
IV – 既婚者、但し両者とも収入有り
V – 両者とも収入有る既婚者。通常は両者ともIV/IVとなるが、税対策上III/Vを選択出来る
VI – 独身でも既婚者でも複数の収入がる場合。一番高額な所得税が課せられる
Kirchenstuerpflichtig(教会税)の有無を選択
Bundesland (住まいの州)を選択
Krankenkasse(医療(健康)保険 法廷かプライベートを選択
Jahrgang (生年西暦)4桁の年号を入力
Kinderの有無を選択
Berechnenをクリック

Steuerklasse (所得税等級)
明細は上述の通り。
ここではSteuerklasse IVについて
これは、既婚者で両方共に定期収入がある場合に適用される等級。
但し、この場合は二通りの選択肢がある。
1. 両方が同じ位の高収入がある場合はIV/IVの選択。
2. 同じでなく、大体6:4位の割合になっている場合はIII(6の方)/V(4の方)を選択。
あくまで目安だが、このケースの方が他の組み合わせより所得税が少ない。
但し、正確には税理士などの専門家に相談にして、計算して貰って決める事。

Steuerklasse (所得税等級)の変更
変更は1年に一度しか出来ず、しかも遅くても11月30日までに税務署(Finanzamt)ではなく、市町村(Gemeinde)に関係書類を提出して行う。
新しく発行されたSteuerkarte(所得税カード)共に所得税を税務署(Finanzamt)に申告し、所得税の返還か、追加払いの通知が来る。

<追加>
税込み収入が変わらなくても、医療(健康)保険や介護保険が従来より多く税控除が出来るようになった。
また所得税改訂もあり、ネットの収入金額が増える事になった。
更にプライベート保険者の場合は子供用の保険料金が全額税控除出来るようになる。
例: 4人家族の場合
税込み  ネット2008 2010
3.000EUR 2.356EUR 2.476EUR +20EUR
4.000EUR 2.967EUR 3.015EUR +46EUR
5.000EUR 3.467EUR 3.523EUR +56EUR

独身の場合
1.600EUR 1.116EUR 1.131EUR +15EUR
2.000EUR 1.326EUR 1.354EUR +28EUR
2.600EUR 1.624EUR 1.674EUR +50EUR

<追加・訂正>
払い過ぎた税金を取り戻そう! 税控除の申請をしよう! 所得税の節約法!
1. 通勤手当(Arbeitsweg): 2008年からそれまでの通勤距離21kmから税が控除されるのではなく、その前までの1kmから税控除が、
裁判の判決で行えるようになった。0,30EUR/1kmが適用され、税控除を行えなかった人は一人平均300EURが払い戻される。 (詳細は別項通勤手当を参照)

2. 事務用品(Bueroartikel): 仕事用として購入した電話、ファックス、事務机などの事務用品は、ネット価格(VATを抜いた価格)を合計410EURまで
税控除出来る。PCなどの高額品はよって3年以上など多年に亘って税控除申請出来る。

3. 講習・研修費用(Fortbildung): 職業上更に教育・講習・研修をし、或いは資格を得るための費用は必要経費(Werbungskosten)として
全額税控除申請出来る。

4. 健康維持費用(Gesundheit): 医療保険に100%適用出来ず、費用の一部がカバーを受けられなかったは、臨時支出(Aussergewoehnliche Belastungen)として控除出来る。
例: 入れ歯、メガネ、静養休暇など。但し年収の3%を超える場合のみに限定。

5. 住居の修理・庭の手入れ(Handwerker): 請求書の20%、年間トータル600EURまで税控除出来る。
(詳細は別項税金 – 2009年法改正を参照)

6. 幼児看護・世話費用(Kinderbetreuung): 14才までの幼児の看護・世話費用は両親が共稼ぎの場合に控除出来る。 14才以下の子供一人に対して、幼稚園費用、養育費などの支出の内、2/3が必要経費(Werbunsgskosten)として4.000EURまで税控除出来る。

7. 補修授業(Nachhilfe): 引越しなので、子供が補修講義を受けねばならなくなった場合は、1.473EUR/一人まで税控除出来る。

8. 寄付(Spenden): 公共施設、教会関係、災害救済などへの寄付、援助金は特別支出として税控除出来る。 支払い証明書が必要。

9. 引越し(Umzug): 職業上の理由で引越しが必要な場合は、一律独身には585EURまで、夫婦には1.171EURまで税控除出来る。

10年金(Rente): 年金保険の66%を税控除の申請が出来る。 Riester年金には特別様式が必要。

<追加>
11家事手伝い費用: 60才以上の家庭の場合、年間624EURまで控除出来る。

12煙突掃除費用: 家事手伝い費用として認められ、控除出来る。

13資産運用費用: 銀行や証券会社への資産管理費用、株主総会への旅費などが、一定料金まで控除出来る。

14単身赴任費用又は独身でも仕事上での別の住居費用: 2重住居として控除出来る。

15所得税に関するパソコン・ソフト購入費や相談組合の会費: 年間100EURまでか、全費用の1/2かの選択肢で控除出来る。

<追加(10月)>
源泉徴収票(Einkommensteuererklaerung)は、2012年から2年毎に提出!

これまで毎年管轄税務署(Finanzamt)に提出してきた源泉徴収票(Einkommensteuererklaerung)は、税法改正により、
2012年から2年毎に提出しても良い事になった。
毎年の手間が省け、納税の簡素化が主な目的だが、短所もある。
短所:
領収書、請求書などの提出書類をそれだけ長く保管しておく必要がある。
税金の還付がある場合は、還付がそれだけ遅くなる。

これまで一緒に提出してきた税金カード(Steuerkarte)は2010年度を最後に2011年度から廃止される。

資本収入税(Abgeltungssteuer)

2009年1月1日より、資本収入に対して導入されるKapitalertragsteuer(資本利益税)。
例えば収入に対して所得税が雇用主から直接徴収されるように、Abgeltungssteuerも直接収入源に課せられる税金なので、
所得税と同様にQuellensteuer(源泉税)の一種。
課税される主な資本収入は、金融機関からの預金者に対するZinsen(利子)、投資信託銀行や投資先企業などからのDividende(配当金)や
Gewinne(株、証券、ファンド及び為替などの売買利益)、保険会社からのLebensversicherungen(生命保険払い戻し金)など。
但しこの場合、生命保険払戻金は短期契約、早期払い戻しなどの場合に限られ、通常は無税。
今までは、これらの収入は所得に加算され、Einkommensteuer(所得税)として一緒に、適用されている所得税率で(例:30%とか40%など)、
Einkommensteuererklärung(所得税申告書)に申告され、所得者自らがFinanzamt(財務省)に支払われていた。

2009年1月1日からは、所得税とは別にAbgeltungssteuerとして一律25%が、金融機関などの直接収入源が支払う事になる。
よってこれまでの様に、資本収入をEinkommensteuererklärung(所得税申告書)に申告する必要はなくなり、金融機関などが全て肩代わりして支払ってくれる。
この税金の名前<Abgeltung(弁済済)>はここから由来する。

Steuersatz(税率)
均一に統一された25%で簡素化される。 しかも税率がやや低く設定したとの事。
しかし更にSolidaritätszuschlag(5,5%、旧東ドイツ援助金)、更に場合により教会税(8 – 9%)が加算され、
トータルで教会税なしで26,375%%、ありで27,82% – 28%となる。

Spekulationsgewinnbesteurung(投機利益税)及びHalbeinkünfteverfahren(利益半額課税法)の廃止
これまでは、12ヶ月以内の投機的な売買による利益に対してはSpekulationsgewinnbesteurung(投機利益税)が課せられていた。
これまでの税率も収入別の所得税率なのでマチマチだった。。
その代わり利益の半額だけに対して課せられていた(Halbeinkünfteverfahren)。 これらが2009年1月1日より廃止される。
無税期限は関係なくなり、12ヶ月以上保有(Speklationsfrist)している資本収入も今後課税の対象になってしまい、
しかもこれまでの利益の半額に対してではなく、利益の全額に対してである。
その代わり税率は一律で25%と低くしてあるとの事だが、課税対象を半額から全額しのを相殺する程の低さではなく、
相殺するには15%が適当とする意見もある。
但しこの廃止は2008年12月31日以降に購入した株、証券、ファンドなどに限っており、無税期限はなくなるが、2008年12月31日以前
に購入したものは、12ヶ月間保有(Haltefrist)すれば、課税対象にはならない無税期限は有効。
しかし何れは売買せねばならず無税期限は自然消滅していく事になる。

株、証券、ファンドの売買で損失を蒙った場合は、同様に株、証券、ファンドの売買利益だけと相殺出来(相殺出来るまでで期間の制限はない)、
利子収入など他の資本収入利益とは相殺出来ない。

課税金は銀行で管理し、計算し、直接銀行からFinanzamt(財務省)に支払われる。

Sparer-Pauschbetrag(免税限度額)
独身者は年間801,–EUR(2008年は750EUR)、既婚者は1.602,–EUR(2008年は1.500EUR)までの資本収入は従来通り無税。
それ以上から一律25%プラスSolidaritätszuschlag(5,5%、旧東ドイツ援助金)が課税される。

<訂正>
免税限度額をSteuerfreibetragと呼ばれている。
上述の限度額以外に、年金者や学生など年間収入が7664EURまでの少ない人は資本収入は免除される。

誰に有利なのか?
株、証券、ファンドの保有者は、売買利益の全額が課税の対象になる。これまでは半額が課税の対象だった。更に12ヶ月以上保有していれば 無税だったが、これが撤廃され、12ヶ月以降の売買でも利益があれば、課税対象になる。 よってこれまでより不利になる。
但し税率が今後は26%から28%なので、これ以上の税率の所得税を払って来た人(高所得税適用の高所得者)には有利となる。
2008年12月31日以前に購入したものは、12ヶ月間保有(Haltefrist)すれば、課税対象にはならない無税期限は有効。

預金からの利子収入に対しては、全額が対象になる事はこれまで通り不変。
但し税率が今後は26%から28%なので、これ以上の税率の所得税を払って来た人(高所得税適用の高所得者)には有利となる。

不動産は10年の保有期間(Haltefrist)を過ぎれば、販売自由で売買利益はこれまで通り無税。
但し自分で住んでいた場合は10年の保有期間(Haltefrist)は適用されず、何時でも無税。

生命保険の満期又は解約による払い戻し金は、最低12年経過し、しかも払い戻し時期が早くても60才の時であれば無税。
その他の場合は払い戻し金から保険料金の支払った金額を差し引いた残高が残った場合、これに対して26%から28%が課税される。
これ以上の税率の所得税を払って来た人(高所得税適用の高所得者)には有利となる。

遺産相続税改革(Erbschaftsteuerreform)

Erbschaftsteuerreform(遺産相続税改革)は違憲か?
CDU(保守系)とSPD(革新系)との大連立政権が長期の討議の上合意に達し、 やっと出来た遺産相続税改革案(Erbschaftsteuerreform)が議会を通過し、
執行の見通しがついた。
しかし無理な妥協の産物のため、矛盾や公正さを欠くところもあり、税理士業界では実行不可能で、しかも不平等で憲法違反の恐れあるとしている。

問題点:
1. 残された未亡人、男やもめ、子供達に対する遺産相続税は税率が下げられ、相続税控除の限度額もアップされたが(未亡人500.000EUR迄、
子供400.000EUR迄、孫200.000EUR迄など)、亡くなった人の兄弟、姉妹、甥や姪などの遠い親戚に対しては逆に税率がアップされ、相続税控除の限度額も
僅かな20.000EURどまりで、不平等さがあり、憲法違反の恐れがあるというもの。

2. 高級な、或いは複数の不動産を相続する場合は、平均的な、一軒だけの不動産を相続するよりも高い相続税が適用され、不合理性があるというもの。

3. 現金や不動産とは違って、会社の相続は無税。 但しその会社の従業員の雇用を以降10年間保持する事、会社の財産を15年間守る事が
無税の条件となっている。こうした不明の長期の将来を条件とするのは不適当というもの。

4. 投機の目的ではなく、本人が住んできた不動産の相続も無税。 但し相続した未亡人、男やもめ、子供はその家に10年住み続ける事が無税の
条件となっている。この条件も不適当というもの。 しかも広さは200m2迄。

<追加>
この法案は大統領府に回送され、クーラー大統領は署名拒否の噂もあったが、結局署名され取り合えず執行の見通しとなった。

連帯責任付加税(Solidaritaetzuschlag)

Solidaritaetzuschlag(連帯責任付加税)って何? 憲法違反だって?
ドイツの裁判所は最近Solidaritaetzuschlag(連帯責任付加税)の課税は憲法違反の判決!
ニーダーザクセン州(州都Hannover)の裁判所は今までも問題となっていたSolidaritaetzuschlagの課税は憲法違反の判決が下された!
1989年の東西ドイツ統一後の1991年に東ドイツの復興建設費用のため、当時のコール首相(CDU)によって導入された。
個人の場合はその所得税に対して、そして企業の場合はその法人税に対し、当初7,5%が課せられたが、毎月ではなく6ヶ月しか徴収されなかったので、
実質年3,75%となっていた。
これは州政府ではなく、このために制定した法令によって、連邦政府によって直接徴収された。1993年から1994年にかけて一時中断されたが、
1995年に再導入され5,5% になった。
しかし今までも「中止すべきだ!」とか「憲法違反だ!」との批判はこれまでも常にくすぶっていた。
そして今回納税者組合の訴えにより、裁判所は「長期的に必要とされる旧東ドイツ復興援助金(Soli)は、追徴金として国民に直接課す事は憲法違反」との
判断を下した。
これによってすでに<長期的な税>となってしまっていた援助金が廃止される事はないが、政府は何らかの適切な対応を責められる事になった。
予想を上回る早いスピードで復興を成し遂げた旧東ドイツはもう援助金は必要ないとされ、また政府は援助金の使途明細の公表の義務がない事から、
他の目的、つまり道路建設などの公共投資に合法的に使用されているとの観測が高まっている。

ドイツの新しい税識別番号発行 (Steueridentifikationsnummer)

2008年度より8千2百万人の納税者に対して、今までの税番号(Steuernummer)に代わる11桁の税識別番号が発行される事になった。
これには住所、氏名、性別、年令、生年月日、管轄税務署名が記録され、この番号下で収入、所得税、保険支出、年金収入、アルバイト収など全ての動きがコンピューターで管理される。
これによりデーター管理の簡素化、統一化を計り、同時に脱税防止を目的にする。

 

児童手当・児童追加手当・両親手当・休暇手当

児童手当(Kindergeld)

子供のある家庭には、養育費として国からの援助がある。 それがKindergeld (児童手当)。
受給資格:
1. 原則的に生誕から18才までの子供。
例外:
a. 学業中または職業研修中では25才まで。
b. 職業に就けず、失業中では21才まで。
2. ドイツ又はEUに住んでいる子供。
3. 両親がドイツに住んでいる、又はドイツで所得税などの税金を払っている。
4. 申請がその子供の生誕から4年以内に行われる事。 それ以降は時効になる。

申込:
管轄労働局(Agentur für Arbeit)内の家族会計担当(Familienkasse)に、指定の申込書に記入、署名の上、直接か郵便にて申し込む。
委任状付けた代理申請も可(税理士など)。
その際、誕生証明書(Geburtsurkunde)などの添付が必要。
誕生証明書(Geburtsurkunde)は、子供が生まれた時一週間以内に戸籍局(Standesamt)に届けたもの。

支給金額(毎月、一人当たり):
1. 1人目から3人目までは154EUR
2. 4人目からそれ以上は179EUR

<追加>
2009年1月1日より、支給額アップが決定された。
1. 1人目から2人目までは10EURアップして、164EUR
2. 3人目は16EURアップの170EUR
3. 4人目からも16EURアップの195EURになる。

<追加>
2010年1月より又アップされた。
1. 1人目から2人目までは164EURから184EURに
2. 3人目は194EURに
3. 4人目からは215EURに
なる。

義務:
申請、受給開始後、何らかの変更は直ちに家族会計担当(Familienkasse)に連絡する。
(但し、家族会計担当(Familienkasse)より定期的に検査はある)

支給終了:
自動的に停止される。

税控除の子供養育費限度額(Kinderfreibetrag)

子供にかかる教育費、食事、生活費などを考慮して、その分を税控除出来る制度。
税控除額は2010年1月より6.024EURから7.008EURにアップされた。
但し上述の児童手当(Kindergeld)と深く関連している。つまり税控除を申請し、更に児童手当の受給を受ける事は出来ず、
どちらか納税者に有利の方が適用される。それは年収額や子供の数、年齢などによって異なるので、税務署と計算して決める事になる。
目安として、年収が約30.000EUR(独身)、約60.000EUR(既婚)の場合は児童手当受給の方が納税者にとって有利、これ以上の高額年収者には
税控除の方が有利とされている。毎年の税申告書によって税務署でもチェックされる。

児童追加手当(Kinderzuschlag)

2005年1月1日に生活保護(Arbeitlosengeld II (Hartz IV)=別項、失業保険参照)が導入されたと同時に、
子供のいる低所得の家族を貧困から救うために一緒に導入された。
つまり、両親の生活だけで一杯で、子供の養育にまでとても経済的に余裕の低所得の家庭から、子供を貧困から守るためのもの。

2008年10月1日よりKinderzuschlag (児童追加手当)の受給資格を拡大、支給額が最高140EUR/月、一人当たりまでに増額された。
更に今まで36ヶ月間の支給だったが、2008年から無期限になった。

受給資格:
子供のいる低所得の家族、両親自身の生活だけで一杯で、子供の養育にまでとても経済的に全く余裕のない低所得家族。 但し、下記の最低所得以上に限る。
月額収入税込みで600EUR以下の独身者か離婚者
月額収入税込みで900EUR以下の既婚者
但し、児童手当(Kindergeld)及び住居手当(Wohngeld)の受給額は含まない。
これはKindergeld(児童手当))に更に追加して労働局(Agentur für Arbeit)の家族会計担当(Familienkasse)から支払われる。

生活保護(Arbeitlosengeld II (Hartz IV)受給者には適用されない。 よってKinderzuschlag (児童追加手当の支払いを受けるかの選択になる。
どちらが得になるは細かい計算が必要。

支給金額(月額一人当たり):
140EUR

支給期間:
2008年から無期限。

両親手当 (父親の赤ちゃんの世話が増える) (Elterngeld)

少子化傾向に歯止めをかけるため、赤ちゃんが生まれた家庭に対して、国が経済的援助をするもの。
これまでの養育手当(Erziehungsgeld)に代わって、両親手当 (Elterngeld)制度が導入された。
内容:
2007年1月1日より生まれた子供に適用される。
生まれた赤ちゃんのために休職する場合は、これまでの12ヶ月間に代わって、妊娠保護期間(Mutterschutz)を超えて、
州により最長14ヶ月間、税抜きネット給与月額の2/3(67%)が支給される。
但し2011年からは65%に引き下げられる。

但し、最高額は1.800EUR/月まで、最低300EURとなっている。
更にパートナーも少なくとも2ケ月以上休職する事が前提(つまり両者の収入の激減)。
女性には妊娠保護期間(Mutterschutz)があり、妊娠開始日より誕生後4ヶ月間までは、倒産などの特別例外を除いて絶対解雇が出来ない期間。
更に別に養育期間(Elternzeit)があり、生まれた赤ちゃんの養育のために取れる休暇(Erziehungsurlaub)事で(但し無給)、
父か母の両方に権利があり、同時に又は交代に取る事が出来、最長3年となっている。
つまり、子供が3才になるまでで、更に最長14ヶ月間の両親手当て (Elterngeld)の受給を受けた者が条件となる。
週30時間内に限ってパートタイムも可能。
目的:
この制度の両親手当により、今までの生活水準を下げる事なく、約一年間子供の世話にを可能にし、更に少子化傾向に歯止めをかける事。
実情:
この制度により、父親がこれまでの母親に代わって、両親手当 (Elterngeld)を申請する事が倍増し、
養育手当(Erziehungsgeld)の時代にはたったの2%しかなかったのが、今や12%にも増えている。
これにより、父親が赤ちゃんの世話する事が多くなり、今までの週末パパではなく、終日子供と接するようになり、
これが子供の成長にとって重要な役割をするようになった。
今や、横断歩道を父親が乳母車をひいて渡る姿が多く見られるようになった。

<追加>
このせいか、赤ちゃんの出生率が平均1,33人から1,37人に増えた。

<追加>
このせいか、養育期間(Elternzeit)を取る父親が増え、今や5人に1人になっている(20%)。
当初は無給の養育期間なんて取る親はいないと予測した人もいた。
州別ではバイエルン州(州都ミュンヘン)の父親が多く、27%となっている。
最低はザーランド州(州都ザーブルッケン)で12%。
(養育期間(Elternzeit)は下記参照)

両親子供養育期間 (Elternzeit) <追加(9月)>
両親子供養育期間(Elternzeit)とは、子供が生まれたら、両親は子どもの面倒見るための休暇を取る事が法令で認められている。
会社は従業員より申請があれば、拒否する事は出来ない。 但し給与の支払いはなく、経済的な援助はこの名目ではない。
申請は勤め先に書式で7週間前に行い、それから2週間以内のどの期間になるか、も知らせる。
この子供養育期間(Elternzeit)を、母親妊娠養護期間(Mutterschutzfrist)に引き続いて取りたい場合は、養護期間(Mutterschutzfrist)が切れる7週間前に、
つまり誕生後最初の週に、申請する。
(詳細は別項の母親妊娠手当(Mutterschadftsgeld)を参照)

両親は両親子供養育期間(Elternzeit)中、就職の義務はないが、希望すれば、週30時間まで仕事に就く事が出来る。
また、養育期間(Elternzeit)中、会社はその従業員を解雇する事は出来ない。
養育期間を取った場合は、1ヶ月に付き、雇用契約で決められた休暇(Urlaub)を1/12短縮される。

<追加>
子供が誕生したら、子供部屋の手配、おもちゃの購入など早速お金のかかる事がいろいろ出てくる。
更に、教育費、食事などで、18才の成人まで一人の子供にはドイツでは合計約1千5百万円かかるとされている。
これは小さな家を買うのに等しい金額。
更に赤ちゃんや子供を誰が何時世話をするか、などの計画も必要になってくる。
そこで、手当ての名目で次のような句にからの援助がある。
児童手当(Kindergeld) – 別項参照(18才までは最低約4百万円受給出来る。)
両親手当(Elterngeld) – 別項参照
妊娠手当(Mutterschaftsgeld) – 別項参照
両親子供養育期間(Elternzeit) – 別項参照
住居手当(Wohngeld) – 低所得者に対して、家族構成、収入額、家賃などを考慮して、支給額を決める(平均100EUR/家族)。

母親妊娠手当 (Mutterschaftsgeld)


法定医療保険加入者の女性に限る。
妊娠保護期間(Mutterschutz)中に最高13EUR/日又は385EUR/月が法定保険会社より支払わられる。

妊娠保護期間(Mutterschutz) <追加(8月)>
この期間中は会社はその従業員を解雇出来ない。つまり妊娠女性を解雇から保護する期間。
期間は誕生予定日の6週間前から生誕後8週間の最長合計14週間。

通勤手当(Pendler-Pauschale)

これまで全ての通勤者は会社と自宅間をkm当たり30Cent分、税が控除されていた。 但し往復の距離ではなく、片道の距離。
ところが、国の税収入を増やそうと、あるいは節約しようと、通勤手当としての税控除はこれまでの全距離だったのを21km以上からに短縮、適用するとした。
これは、20km以上の通勤距離の人は税控除を受け、それ以下の人は税控除を受けられないのは不平等として、通勤者有志が告訴していた。
連邦憲法裁判所より、この法令は不平等で違法との判決があり、政府の敗北が確定した。
この判決の結果、これまで税控除を受けられなかった分(通勤距離が20km以内)に、税控除されなかった分の払い戻しがあり、 更に2009年1月1日から通勤税控除がまた全距離に復活される。
払い戻しは2009年より自動的に行われ、特別な申請は不要。 但し通勤距離は正しいか検査される。
通勤税削除に伴い、所得税申告書に通勤距離と労働日数を不要と思い記載しなかった場合は、税務署(Finanzamt)に知らせる必要がある。
通勤税控除の対象であった21km以上からしか申告しなかった、つまりトータルの通勤距離から20km差し引いて申告した人も申告し直しする必要がある。
これからの所得税申告書は全体の通勤距離を記載する事になる。

<追加>
通勤手当(Pendler-Pauschale)の国よりの返還支給金は平均300EUR!
2007年よりの法改正で通勤距離21km以内は通勤手当としての税控除が出来なくなった。 しかしこれは不平等で無効との判決があり、21km以内でも税控除が出来るようになった。
今年に入って、2007年度に税控除を受けられなかった人に返還し始めて、既に約半分が処理を済ませている。 それによると一人返金300EURが返還支給された。
(生活メモ – 税金 – 通勤手当参照)

休暇手当(Urlaubsgeld)

夏は休暇手当支給(Urlaubsgeld)のシーズン!

通常6月の給料と共に支払われる。 支給額は労働組合を通じて雇用主と交わされた給与契約に基づき、予め決められた額が支払わられる。
景気の動向で変更したい場合は本人や労働組合の了承が必要となる。 よって雇用主は景気の悪化で節約したい場合は、休暇支給金カットではなく、
労働組合などの了承を必要としない労働時間短縮を講じる。
労働組合が中小企業などでは、休暇手当(Urlaubsgeld)の有無、その額は予め雇用主との雇用契約(Arbeitsvertrag)で決まる。 一般的には13ヶ月給与として、1か月分が普通。
業界によっては給与に対するパーセンテージやで決まるところもある。
但し景気によっては全く支給しない業界もあり(公務員、理髪業界など)、製パン業界では160 – 360EURとなっている。

失業保険支給

ドイツ失業保険支給、Hartz IV

会社から解雇されて(倒産も含めて)職を失った人に、自分が会社と折半で今まで支払ってきた失業保険から労働局(Bundesagentur für Arbeit)を通じて支払うもの。
自分で職を解約したり、放棄した場合は受給の権利はない。
現在は

Arbeitslosengeld I
(今までの失業保険で、2005年1月1月より新しく導入されたArbweitslosengeld II (=Hartz IV)と区別するために Arbeitslosengeld Iと名付けられる。)

Arbeitslosengeld II(=Hartz IV)
(収入の少ない人のために2005年1月1月より新しく導入された。)
がある。

Arbeitslosengeld I
受給資格者:
1. 週少なくとも週15時間以上の労働を探している者。
2. 要求資格最低期間(Anwartsschaftszeit):最近の2年間内に少なくても360日間職にあり、失業保険を支払った者。
3. 関係労働局に失業の申請をした者。
但し、65才以上は資格なし。

受給期間:
2008年1月1日より改正(支給期間一部延長)


失業保険支払最低期間
12ヶ月以上
16
20
24
30
36
48
年齢(から)




50才
55才
58才
受給期間
6ヶ月間まで
8
10
12
15
18
24

よって受給期間最長は、50才までの人は12ヶ月、58才以上の人で24ヶ月(今までは18ヶ月)となる。
但し労働局より職の斡旋を拒否したり、職に就こうとしない者は最長12ヶ月まで一時支給停止になる。
その後も職が見つからず、収入がない、或いは少ない場合は、Arbeitslosengeld II (=Hartz IV)を申請する事になる。
これは自動的に引き継ぎになるのではなく、新たに申請して、審査を経て認可を得る事になる。 支給金額は申請した諸条件(家族構成、家賃など)を 考慮して決められる。(後述のArbeitslosengeld II (=Hartz IV)を参照)

受給金額:
特定の計算方式で算出される。
およそ税引き給与の約60%
例 (概算):
税込み5.000EUR 税抜き3.000EUR 支給額1.800EUR
税込み3.000EUR 税抜き2.000EUR 支給額1.200EUR

<追加>
最近ドイツで貧富の格差拡大について社会問題になっている(トップページ<最近の話題>2008-05-19参照)。
失業者は貯金出来るところか、更に最貧困層に陥る最大のリスクを負っている事になる。

これを救済する為に政府の対策として:
減税
最低賃金法(Mindestlohn)の拡大 (最低賃金法についてはトップページの<生活メモ>参照)
失業者対策
Arbeitslosengeld II (=Hartz IV)の支給額アップ(後述参照)
などが検討されている。

Arbeitslosengeld II (=Hartz IV)
収入のない或いは少ない人のために、必要最低限の生活維持が出来るように2005年1月1月より新しく導入された。
今までのArbeitslosenhilfe(失業援助)とSozialhilfe(生活保護)を統合したもので、Arbeitslosengeld(失業支給金)とあるが、
受給者は失業者とは限らず、職があり収入があっても少な過ぎて、必要最低限の生活維持が出来ない者も、Sozialhilfe(生活保護)として支給を受ける事が出来る。
又、上述のArbeitslosengeld Iの受給者も受給額が少な過ぎて、必要最低限の生活維持が出来ない場合、その補足として、
同時に受領する事が出来る。
しかしArbeitslosengeld II (=Hartz IV)受給者は国の援助なくしては生活出来ない、社会の底辺に属する人達であり、
貧困の象徴となっている。よって中間層など他の人達から見下される場合が多い。

<追加>
最近ドイツで貧富の格差拡大について社会問題になっています(トップページ<最近の話題>2008-05-19参照)。
つまり現在13%の人が最貧困に喘いでいるが、更に13%の人がArbeitslosengeld II (=Hartz IV)の支給を受けて、何とか凌いでいるというもの。
富裕層は独身で月3.400EURネット以上、既婚子供2人で7.000EUR以上の収入者
中間層は月1.500 – 3.000EURネット
低所得者層は中間層の60%、約800EURの収入しかない人となっている。

受給資格:
申請後、受給必要性が充分審査される。
1. 15才から65才までの人
2. 就職可能の人
3. ドイツ滞在の人
但し収入がなくても、貯金、財産のある者は対象外となるか、相殺される。

<受給金額改定補足>
受給金額:
基本支給額は、毎年引き上げられてきた。
2009年7月より、
独身 359,–EUR
既婚 323,–EUR

2011年1月1日より、 独身 364,–EURに
2012年より、更に367,–EURに上げられる予定。

<追加(2月)>
但しまだ最終決定はしていない。

更に申請された下記の諸条件が考慮されて、加算される。
家賃と暖房費 (基準あり、贅沢は許されない)
障害者など特別な別途費用

<子供養育費金額改定補足>
更に子供養育費も加算される。
子供6才まで 215,–EUR
子供7- 13才 251,–EUR

例 (概算):既婚者(2人) 支給額

子供なし
1人
2人
2人
3人

14才以下
14才以下
14才以上
632EUR
843EUR
1054EUR
1194EUR
2108EUR

<追加>
失業保険Hartz IVの基本支給額は憲法違反との判決!
最近、連邦憲法裁判所で、この判決が出た。
各人は最低生活保証を受ける事が憲法で決められている。
しかし失業保険Hartz IVの支給額は、この憲法で定める最低保証を基準に計算され、決められたものではないと違憲の判決を出した。
この事は支給額を決めた方法に言及したもので、額の高低を問題視して、少な過ぎるから違憲という判断ではない。
よって、ドイツ政府は支給額を再検討し、新しい計算方法で額を決める事を、裁判所から責められる事になった。

<補足>
更に家賃と光熱費が加算されます。
例:

家族
1人
2人
3人
4人
5人
6人以上
家賃/光熱費
360EUR
444EUR
542EUR
619EUR
705EUR
+50EUR/一人
住居の広さ基準
50m3まで
60m3(又は2部屋)
75m3(又は3部屋)
90m3(又は4部屋)
これ以上は10m3か1部屋づつ

ここでも貯金と云えるほどの貯金はとても無理な筈。 夫婦で子供なしで、家賃・光熱費などの生活費用を含めて624EUR+444EUR=1.068EURしか貰えない。
これは後述する就労者の平均給与1.890EURネットより少ない(ここから住居費を差し引いても)。

<追加(2月)>
2011年から光熱費の支給は廃止される。
これまでは1人家族用に24EUR、5人家族には49EURが含まれていた。

ドイツ失業保険(Hartz IV)支給額は給与より多いか?

<追加>
但し、毎年引き上げられてきた支給額により、低所得者に限られるが、彼等にもう働く意思はない!?
失業保険Hartz IVの受給額と変わらない!?

比較例:


給与(税込み)
給与(税引き後)
子供手当て
収入額
小売業従業員+2人子供(5才+10才)
1699,00
1353,55
368,00
1721,55EUR

基本受給額X2
子供養育費(5才)
子供養育費(10才)
家賃/光熱費
受給額
失業保険受給者+2人子供(5才+10才)
646,00
215,00
251,00
518,00
1630,00EUR


となり、差額は僅か91,55EUR! 片方は週40時間の労働!
更にこの人に非現実的ではあるが、子供が3人、4人と多くなってくると、養育費の支給額が失業保険の方が多くなるので、
失業保険受給額が多くなり逆転する事も起こり得る。

<追加(2月)>
失業保険Hartz IVの受給額は、就業者の給料より多いか? よって失業者は減らないのか?

「今までの給与より多く失業保険をもらったドイツ人がいる」
「失業保険でお金を貯めたドイツ人がいる」
「失業保険で充分生活出来るから、職に就こうとしない」
とか聞いて信じる日本人がいますが、全てデマです。  しかも50才以下なら一年しか貰えません。

ドイツにはLohnabstandgebot(賃金差額法令)があり、失業保険Hartz IVの受給額は就業者の給料より多くなってはいけないという法令。
よって、失業保険Hartz IVの基本支給額は大幅に値上げされる事が禁止されている。
しかし、実際はどうなのか? そこである税金関係の経済研究所が試算、比較した。
それによると、2人子供がいる場合で、収入が少ない低所得者家族では、失業保険Hartz IVの受給額の方が、同じ条件の就業者の給料より多い事が分かった。
例:失業保険受給額ネット1.662EUR(住宅手当含む)に対して給料はネット1.544EUR(2人の児童手当含む)。
よって、低所得者に限って職に付くメリットはここではなく、失業者は減らない。
低所得者にとって社会保険の支払い割合が他の所得者に比較して、割高で負担増になっている事も原因の一つ。
失業保険Hartz IVの支給額を減らす事は、労働組合や革新系(SPD)の猛反対が予想され実現不可能と見られている。

<追加>
失業手当の誤解を生む報道
現地ドイツのある日本語新聞で、<失業手当で月額4.500ユーロ!>の見出しの記事がありました。
ドイツのBild紙の日本語訳との事ですが、これもまた誤解を生む内容です。

1. まず第一に、失業手当とありますが、正確には純然なる失業保険のArbweitslosengeld Iの事ではなく、記載されている支給金額から
判断して、正確には<生活保護>である Arbweitslosengeld II (=Hartz IV)に関する記事です。 よって正確には
<生活保護で月額4.500ユーロ!>が正解。

2. 児童手当: 上述の金額は、一般的に誰でも貰える金額と誤解を生む見出しとなっています。 しかし事実は殆どあり得ない
11人もの子供のいる家族の場合の話、つまり11人の児童手当が加わっての話。 例外中の例外! 一般的な事と誤解を生む事になります。
更にArbweitslosengeld IIで貰える児童手当は14才以下(記事の15才は間違い!)の場合は208EUR、14才以上で278EURに
なっているが、勿論就労者も児童手当は貰え、通常18才まで(学業中は25才まで)、1人から3人までは154EUR、それ以上は
一人179EURに貰える事になっている。
記事の極端な例の11人(!)子供の場合はトータルで674EURだけArbweitslosengeld IIの方からが多く貰える事になる。
しかし実際はドイツの平均子供数は家族当り1.5人位。 つまり一般的には児童手当は両方とも殆んど変わらないか生活保護の方が
多くなる事はない。

3. 住居手当: これもArbweitslosengeld IIから支給されます。 ただ記事では1.300EUR貰っている事になっています。
しかし基準があり原則として5人家族は705EUR(家賃/光熱費)、更に人数が多い場合は原則的に50EUR一人あたり
加算が認められ(上述参照)、11人の場合、追加6人で追加300EUR、つまりトータルで支給額1.000EURが通常です。

4. 税金: 平均収入が2.549EURとあり、税金と社会保険で、ここから52%(!)が消えると記事にはあります。 これも間違い。
つまり1.220EURネットしか残らないので、だから失業保険の方が多く残るという大きな誤解を生む記事。
又ドイツは税金が高いという誤解をもますます広める事になります。
実際は2.549EUR税込みの給料とすると、30才で子供なしの場合、所得税約150EUR(6%、但し教会税含まず)、社会保険
約510EUR(20%)、ネット約1.890EURで、つまり記事にある52%ではなく、26%(!)となる。

総括: 単純比較すると、下記のようになります。
比較 (概算)

年齢・子供
30才、子供なし
40才、子供2人
40才、子供11人
就業者給料(ネット)
1.890EUR
2.500EUR
4.400EUR
Arbweitslosengeld II受給者 +家賃/光熱費(一緒に支給される)
624EUR+444EUR=1.068EUR
1.040EUR+620EUR=1.660EUR
3.190EUR+1000EUR=4.190EUR


両方とも児童手当を含む。
就業者給料(平均)は更にそこから家賃と光熱費を支払う事になります。この経費をArbweitslosengeld IIの基準で計算しますと、
やはり平均的に就業者の方が多く残る事になります。例外は子供が11人など多い場合だけで(674EUR)、これは
Arbweitslosengeld IIの児童手当支給がやや多くなっているからです。

この項目に関しては間違った先入観が蔓延しているようで、今後も正確な情報が求められます。

<追加>
長期の失業者が問題になっている。 全体の40%以上が長期の失業者だからだ。
ノールドラインーウェストファーレン州(州都デュッセウルドル市)では、この失業者を減らすため、簡単な労働に雇用した企業には、
その給与の75%まで州が負担すると発表した。 この政策を”Job-Perspektive”と呼んでいる。 負担総額は20億円を想定している。
経済界は懐疑的。 求める人材は簡単な労働ではなく、専門業種に集中しているからだ。

1-Euro-Job:
Arbeitslosengeld IIの受給者は、更に1-Euro-Jobと呼ばれる補助金を受ける事が出来る。
これは特に職に就くのがより困難な<長期>の失業者を対象、援助するもので、早く職が見つかるように、早く職に慣れるように、 まず週20―30時間、2-3ヶ月の短期の労働を労働局が斡旋し、それに従事した者が、そのためにかかった費用(交通費など)を相殺する名目で、1時間1ユーロの
支給を行うものである。
但し週20―30時間以上の仕事は斡旋しない、本格的な仕事を探す時間がなくなるからである。
失業者でArbeitslosengeld IIの受給者でも、1-Euro-Jobに従事している間は、労働統計上では失業者に数えられない事になっている。
これは失業率を公式統計上少なくするトリックとも云われている。

<追加>
「1-Euro-Jobとは受給申請後、労働局が斡旋する仕事は便所掃除(!)だろうが、何でも全て受けねばならない」
と言いふらしている日本人もいます。勿論これも間違い。 趣旨が全く違います。
極め付きは
「失業保険はArbeitslosengeld IとかArbeitslosengeld II (=Hartz IV)とか呼ばない、こんな名称は存在しない」
と正々堂々と公表している日本人です。

日本人の間では、ドイツ人からの又聞きなのか、失業保険については間違った情報が蔓延しているようです。