離婚・扶養・生活費
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離婚又は同棲から別れた後の扶養・生活費及び子供養育費 (Unterhaltsrecht)

2008年1月1日より扶養義務法令 (Unterhaltsrecht)が改正された。 それは、今までは扶養費を受け取る優先権が元のパートナーや子供と順位が同じで、扶養費の計算も大変複雑だったが、新しい法令では扶養費の受給優先権の一位はまず子供になった事。
そして、扶養費の計算も著しく簡素になり、支払い者の収入額と受け取る子供の年令別で所謂デュッセルドルフ表から割り出される事になった。
更に、従来では元パートナーへの生活費は、正式結婚していたか、単なる同棲だったかによって、受給額に相違があったが、その相違は撤廃され、平等に扱われる事になった。
子供の扶養費は、今までは同棲ではなく、離婚の場合は、子供が8才になったら、半日労働、15才になったら全日労働が義務付け、自分で子供の養育費を稼がねばならなかったが、 新しい法令では、同棲、既婚に関係なく、子供が幼稚園に行ける年令3才から就職義務と統一された。事実上の短縮。 <追加> この短縮にデュッセルドルフの女性が裁判を起こし、子供が3才になっても、子供の養育と就職の二重生活は強要出来ないので就職する必要ない
との判決があった。
しかし、子供が何才から就職の義務付けとなるかの判断はなかった。
因みに子供の扶養費額は下記のデュッセルドルフ表(全国共通)で決まり、
3.100EURネットの給与の人が、子供が5才までの場合は、元パートナーに扶養費として月額358EURを支給する事になっている。

<追加> 離婚後の子供の養育費を決める所謂デュッセルドルフ表(全国共通)(Duesseldorf Tabelle)が2010年度用に改正された。 約13%のアップになっている。

<追加> 5月21日の閣僚会議で離婚法の改革案が承認され、今年中にも実施される見通し。
趣旨はこれまでの財産分配の不合理性を改革するもの。 特に女性に有利になっている。
主な改正点:
1.結婚後増えたり、築き上げてきた財産は離婚後均等に分配される事は従来通り。 今後は、片方が負債を持ち込んで、片方が肩代わりに弁済した場合も、弁済した分も共同財産として加算される。
<追加> 貯金の口座名がどちらか一方でも、それには関係なく、財産は均等に分配される。

2.共同財産の査定日を、これまでは裁判で離婚が成立した日としていたが、時間がかかるため今後は離婚訴訟日とする。 これで離婚成立までの期間中に財産を隠すなどの時間を防ぐというもの。
3.両者共に今後は、所得税申告書などの会計書類の提出を求める事が出来る。これで財産確認がより判り易くなる。
4.離婚訴訟中、仮の弁護士保険を申請する事が出来る。 これは、例えば片方が不動産などを勝手に処分しないように弁護士を通じて監視させるなど・・・・。
中道政党FDPはもっと厳しく、財産査定日を離婚訴訟日より更に前の日の別居開始日にすべきと主張している。 <追加> 離婚後の生活費・養育費法が2008年1月1日より改正(上述)。

特に子供の養育費について、改正前は08/15制と云われ、離婚後子供を養育する側、つまり大抵母親は子供が8才になるまでは全く就業する必要はなく、
15才までは半日しか働く必要がないと決められていた。
改正では子供は4才になってからは、養育費を負担する側、つまり大抵父親は今後母親が就業が出来るかどうか、出来るとすればどの位の範囲で
出来るかどうかをチェックする、又はさせる事が出来る事になった。
つまり子供が4才以上の場合、子供の養育の傍ら、就業が可能と判断されれば、母親は全日又は半日働きに出なければならない事になった。
その判断は本人が離婚後3年後にその受給の必要性、つまり全日又は半日も働けない証明書を出して行われる。
子供が3才までは養育に専念し従来通り働く必要はない。

これは、
1. 子供の養育費は絶対に確保せねばならず、負担側の支払い能力確保のため、なるべく負担額の軽減。
2. 養育費を受ける側は何時までも支払い側に頼るのはなく、なるべく早く自立を促す。
のが、この改正の目的。

つまり負担側に対する長期的な負担の解消。
子供がいない場合、片方が病気とか老齢の場合などは、生活費支払いの義務があるのは従来通り。
しかし不倫による離婚の場合は、生活費受給の権利も抹消される。

今回の裁判所の判決は、離婚後の生活費・養育費法改正前に離婚したため、父親は母親(学校の先生)が息子(8才)を引き取ったため、生活費として
840EUR/月の支払いを命じられ、母親は子供養育のため全日働かなくてもよい事になっていたが、今度の改正で母親は子供が4才以上の場合、
状況が許せば全日または半日就業の義務が生じる事になったので、その分養育費の解消又は軽減を訴えたもので、それが原則的に認められたもの。
但し今回の場合は特別に子供が慢性喘息の病気があり、母親はどの位の介護・養育が必要なのかがチェックされる。 それにより今後の生活費受給の
必要性又はその額が決められる。
つまり子供が4才以上の場合、子供の養育の傍ら、就業が可能と判断されれば、母親は全日又は半日働きに出なければならないと云う改正も、
実際はケースバイケースで判断される事になる。 <追加> 新判決! 離婚相手に対する生活費支払いが大幅の減少! 就職が必要となる?
離婚した相手に対する生活費支払いは、今後新しく結婚した相手に対する生活費と同額扱いすべきとのKarlsruhe憲法裁判所の判決があった。
これまでは最初の離婚した相手と本人の収入は半々にして、半分を相手に生活費として払う義務があった。 この判決によると、同額扱いとなり、
つまり本人の収入を均等に1/3づつに分配される事になる。
例: 本人の収入4.000EUR。 これまでは最初の離婚者に対して半分の2.000EUR生活費支払い、新しい結婚相手には残り2.000EURの半分1.000EURと
なっていた。
よって不足分は自分で職業に就き、収入を得なければならない。 これは不平等で、今後は1/3づつ1.333EURの分配支払いとなる。
最初の離婚者はこれまでの2.000EURから一挙に1.333EURに減るわけで、不足があれば、この人も職業に就き、収入を得なければならない。

夫婦間契約(Ehevertrag)

結婚の時のEhevertrag(夫婦間契約)って何?

誰が契約出来るかの?
所得、収入、年齢に関係なく、どの夫婦でも契約の当事者になれる。

何時契約するの?
通常は結婚前がベスト。 結婚後はその気がなくなるケースが多いが、結婚時に遡って契約する事もある。

何を契約するの?
原則的に夫婦間で自由に内容を決められる。
一番多いのは離婚したら? どちらかが死亡したら?などの場合の財産分配などを決める。

Zugewinngemeinschaft(共有蓄積財産)
結婚後に蓄積した財産は夫婦共有の財産となり、その配分を決める。
例: 通常は半々分配となる。 しかし結婚前の財産が少なかった方のパートナーは50%でなく、30%だとか、
15.000EURなどと金額を決める。
結婚後稼ぎの多い方のパートナーに有利となる。

Guetertrennung(財産分割)
それとも、結婚前の財産及び結婚後に蓄積した財産は夫々別々に属して、共有ではないとしておく。
財産の多い方のパートナー、結婚後稼ぎの多い方のパートナーに有利となる。

Unterhalt(養育費)除外
子供がいない場合はUnterhalt(養育費)の支払いの必要なしとして除外する事を予め決める。

Versorgungsausgleich(年金資格)の除外
結婚後に得た年金資格の分割を除外する事を予め決める。
年金の多い方のパートナーに有利となる。

契約はどうやって作るの?
複雑は法令も考慮せねばならず、弁護士を介入させる。 最終契約の署名は絶対に公証人を介入させる。
さもないと契約は無効となる。ドイツ語が理解出来ずに署名した場合も無効となる。
どちらか一方的に不利になっている契約も認められず、無効となる。
弁護士や公証人の料金は全体の財産額による。

離婚したら、自分の子供の相手側に当時プレゼントした財産を返せ!

自分の子供が結婚中に、義理の相手に当時お金や財産をプレゼントしたのを、自分の子供がその後離婚したので、血の繋がりがない義理の相手とは全くの<赤の他人>となったので、その相手に当時贈ったお金や財産の返還を求める事が出来る判決が連邦裁判所で出た。 具体的には自分の娘が結婚するので、結婚する相手、つまり義理の息子に29.000EURの現金を贈った。 7年後にその娘は離婚する事になった。 娘の両親は義理の息子だった相手にその現金の返還を求めて訴えを起こした。 裁判所は当時現金を贈った基本的な理由、状況が、離婚によって崩れたとして、これまでの判例を覆して、両親の返還を認める判決を下した。

2009年9月1日より離婚法が改正!

2009年9月から離婚法改正で財産分配法が変更!
Zugewinngemeinschaft(結婚後にどちらか又は夫婦両方で築き上げた財産は、離婚の際には後述の夫婦間契約(Ehrvertrag)がなければ、これまで通り自動的に均等配分される。
結婚以前にどちらかが負債があった場合は、これまではそれは考慮されなかった。
法改正では考慮される事になった。
例: 夫が結婚前に会社設立のため30.000EURの借金があった。 結婚後会社が起動に乗り、50.000EURの財産を築く事が出来た。 夫の財産はつまり20.000EURとなる。
彼の妻は借金はなく、結婚後も仕事に出たため50.000EURの貯金が出来た。 同時に子供も出来て、家でも面倒をみていた。 夫はその為自分の会社に集中する事が出来た。
こうして彼の借金も返済出来、利益を出せるようになった。
これまでの法令では、彼の妻は15.000EURを彼に支払わねばならない。
つまり、彼の財産は20.000EUR、妻の財産は50.000EURで30.000EUR多く築いた事になり、これが折半される。
新しい法令では、彼が30.000EURの借金を返済した事が考慮され、実際彼が稼いだ財産は50.000EURとなり、お互い同じ金額なので折半する必要がなくなる。
つまり妻は新しい法令では15.000EURを払わなくても良い事になった。

更に新しい法令では、離婚申請時にお互いの財産を後に変更のないように明示しなくてはならない。
従来では、離婚申請時にお互いの財産を提示するが、確定的なものである必要はなく、後に変更出来た。
例: 夫が離婚申請時に20.000EURの財産がある事を提示した。 その後、夫は新しい女性とのハワイ旅行に8.000EURを使い、また株の投資失敗で更に12.000EURを失い、
彼の財産は全て無くなったと申請した。
今までの法令では離婚成立時の財産になるので、それまでに無一文になった元の夫からは妻は財産の分配を受ける事は出来なくなった。
新しい法令では、分配は離婚成立時の財産ではなく、離婚申請時の財産となるので、たとえ夫がその後全財産を失ったとしても、半分の10.000EURの分配を受ける事が出来るようになった。
つまり、離婚申請後は財産を隠す事が出来なくなった。