危機感のあらわれ?
下記は本日出ていた記事です。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR30B350Q3A830C2000000/
ドイツも重国籍を認めるという大きなニュースです。
国際競争力の低下とのことで、これを日本はどう受け止めるのか気になります。
しかし、最短で3年で取得はかなりのスピードです。現段階で3年在住している人は、すぐに申し込めるのでしょうか?
在外邦人と日本に住む日本人では意味が違う
重国籍をめぐる問題では、国外に住む日本人が、居住国での国籍を取得したため、日本国籍を強制的に失ったと国を相手取り裁判をこしています。
これに対し日本では、「わがまま」だと言われているようです。
そもそも、重国籍の意味合いは、在外邦人と日本に住む日本人とでは、重みも意味も全く違います。
日本に住む日本人には、正直関係のない話で、よそ者が何で日本国籍を取得するのか?とそこに批判の矛先が向いています。
犯罪率が増えるとか、悪用されるとか、根拠のない理由で批判をしています。
はっきり言って、日本人が重国籍を嫌う理由は、近隣のアジア諸国からの移民でしょう。
欧米の人が国籍を取るのとは、少し訳が違います。
鎖国
鎖国的なルールをいつまでも適用していると、国際社会に置いてきぼりにされるという意味で、ドイツのショルツ首相はこの件にゴーサインを出したわけで、その状況は日本も同じです。
介護士の不足、そもそもの労働力の不足を外国の労働力で賄うのは、どこの国も徐々にスタンダードになってきています。
在外邦人のことを「いいとこ取りしたわがままな日本人」というなら、日本も海外からの労働力を高学歴な優秀な人材にのみに限定して選んでいれば、それこそいいとこ取りでしょう。
その良い例が、かつて、日本国籍を喪失してアメリカ国籍でノーベル賞を取った日本人研究者がいますが、この研究者の方に日本の総理大臣は直接電話で祝福しました。
彼は日本国籍を喪失していますが、それでも日本の功績として扱いたいのでしょうか?
正直、研究の内容や受賞理由に国籍など関係ありません。この彼という人の功績です。
ちなみに、この研究者は、後日、日本のそういうところが嫌になってアメリカに行ったのだとはっきり言っています。研究の功績についても、日本企業で行った研究や特許は、全て所属の日本企業に持っていかれた、と言っています。
彼のアイデンティティは間違い無く日本人でしょう。しかし、一般人の重国籍者は、容赦無く非国民扱いでパスポートを無効にして対処する一方で、ノーベル賞を取れば、総理が電話で祝福するということに違和感を感じます。
スポーツ選手も同様です。お咎め無しです。
根本的に、悪用されるという前提で国籍法を考えている以上、この重国籍問題は解決しないと思います。
海外で優秀な日本人が活躍できるように、その国の国籍が必要ということも多々あります。
感情的なことと実務的なことがごちゃごちゃになっていて、全く無関係の日本人が先導きって大反対の声を上げるのもおかしくないでしょうか?
外国人=犯罪者ではありません。ひどいと在外邦人は非国民という人もいます。
他国のパスポートを持っていても、日本人は日本人です。アイデンティティは一生変わりません。
パスポートを2つ持っていたらそんなに恨めしいのでしょうか?憎いのでしょうか?
悪用されると思っている人は、自分が重国籍なら悪用するよと言っているようなものです。
アメリカのように、重国籍を認めても、税金をアメリカに納めるなどの義務を課せば良いではないのでしょうか?
その上で、日本のパスポートを返納する人はそうすれば良いと思います。
次世代の子たちのために
国を訴えた原告団の一人の高齢男性は、「正直、自分の国籍に関してはもう問題ではない。次世代の子供たちがこうした国籍問題で、将来を左右されることがないように戦っている」とコメントしていました。
その意味は、日本を自ら出た日本人だけでなく、生まれながらにして重国籍で生まれた、つまり国際結婚した夫婦の子供たちのことを考えてのこと。
いわゆるハーフで生まれてきた子たちは、自分から国籍を選択したわけではなく、両方の親の国籍を生まれながらに所有しているのに、日本の国籍だけを手放せと果たして言えるのでしょうか?国籍が2つあるからと言って、国が奪い取って良いものではない気もします。
この点については、日本で批判している人もあまり考えが至らないようで、非常に残念ではあります。
個人的には、どちらが良いとは言えませんし、国籍が1つの方が全てのことがスムーズになります。
しかし、人生を外国で暮らす人の中には、その国の国籍が必要な場合も多々あります。
そうした事情を無視して、批判だけをしても何も進みません。
結局は、日本に入ってくる移民の国籍取得を防ぎたいというのが一番の理由だと思います。
国際社会から遅れを取って、日本が置いていかれるのはメリットがありません。
今回のドイツの決断は、さっそく波紋を呼んでいますが、その決定に至る勇気があるのは、流石ドイツだと思います。
かつてメルケル首相が、移民政策を批判されて、「ほらみろ、失敗だ」と日本人も軽々しく発言していましたが、彼女がドイツ国内で残した功績も知らずに、移民政策だけで批判をする日本のメディアやジャーナリストには、がっかりした覚えがあります。
本当に海外の情勢を知らないんだなと、ジャーナリストですらそのレベルかと一般人の自分でも感じました。
移民政策に問題がないわけではありませんが、それを実行して対処していく勇気があるだけでもドイツを評価できると思いますし、確実に前には進みます。
日本はそうした移民や国籍に関することは、停滞したままです。止まっていると、遅れていることにすら気がつきません。
ドイツの今回の決定には正直驚きましたが、良い方向に進むことを願いたいです。