長谷部選手の引退で思うこと
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引退会見をドイツ語で

長年ドイツでプレーしてきた長谷部誠選手の引退会見を見ました。(下記動画参照)

サッカー選手の引退とい場合、クラブにとっては通常1人の選手が去っていくだけ、もしくは損失と考える場合もあります。しかし、長谷部選手の場合は、クラブが育てた財産でもあります。それは、彼が今後ドイツでの監督ライセンスの取得を目指していることも明らかですが、指導者としてのキャリアもこのフランクフルトで歩ませてもらえるチャンスを獲得した長谷部選手の実力でもあります。

この会見を通訳なしでドイツ語で行っていることは、決して当たり前のことではありません。サッカーのことと並行して、相当な努力をドイツ語にも注いできたことがわかります。文法も発音も本当にきちんと丁寧に話されている姿は、在独の邦人にとっても、励みになるし、お手本でもあります。

この10年で日本のサッカー選手は、海外のリーグ、特に欧州リーグに移籍することが増えました。しかし、やはり言葉の壁は大きいようで、監督や選手とのコミニケーションに苦戦し、結局日本へ戻ってしまう選手も少なくありません。

最低限の英語ですら理解できないと、監督の指示もわかりません。ドイツリーグだからと言って、監督がドイツ人であるとは限らないので、現地語も含め英語は必須でしょう。ドイツ人の監督なら、英語を理解できる人がほとんどでしょう。多国籍の選手層が当たり前ですから、英語はできて当然です。

サッカー選手に限らず、留学や仕事でドイツに来ている人も、このことは置き換えられます。

仕事のためにドイツに赴任して、コミニケーションが取れない場合、どうやって仕事を進められるのか?毎回通訳を雇うわけにもいかないでしょう。

事務的な作業であれば、日独こなせるスタッフがいて任せられますが、現場ではそういうわけにはいきません。

スポーツ選手に帯同通訳をつけることが多い日本人ですが、それは普通の会社員にとって簡単ではありません。

かつて、ドイツに駐在していた日本人ビジネスマンの方で、英語もドイツ語もわからないという人がいました。では何をしているのかと思っていたのですが、ドイツの支店のマネージャーということで、もっぱら日本とのやり取りで、あまり現地の人とは接触がなかったようなことを聞きました。

つまりはお飾り的な存在です。そんなことで会社が成り立つのかなと思っていましたが、程なくしてその人は日本の田舎へ転勤命令が出て降格したそうです。

仕事でドイツに来た人でも、長谷部選手のように、ドイツ生活が居心地がいい人は、定年までに人間関係を構築して、言葉を覚え、退職後の生活をドイツで過ごす人もいます。

海外生活を長く過ごす秘訣はやはり現地の言葉の習得でしょう。それを長谷部選手は引退会見でも見せてくれました。現地メディアとのやりとりも非常に友好的ですし、ドイツメディアも彼を尊敬しているのがわかります。

彼のような存在は稀有な存在でしょうが、異国の地で生活していく大変さと努力の結晶が見れる会見でした。

長谷部選手、選手生活お疲れ様でした!

今後は、長谷部監督の姿をドイツブンデスリーガで見れることを楽しみにしています。