ドイツの極右政党が第2党に
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AfDが第2党に

ドイツでは、先日極右政党のAfDが議席を伸ばして第2党となった。

ドイツに住んでいる人ならわかるが、この政党は問題が非常に多く、ナチス信望者の集まりと言っても過言ではない。

移民を家畜と呼んだり、ナチスの思想を擁護したり、とにかく危険な政党として認識されている。

それでも、議席を伸ばして躍進した背景には、ドイツ国内の貧困層の不満もある。ロシアのウクライナ侵攻以降は、エネルギー政策に苦慮して、国内の製造業も大打撃を受けている。

経済的な状況も後退し、ショルツ首相ではダメだという空気になったことも、AfDの追い風となった。

日本でも報道され

日本でもこのニュースは報道されたが、受け取り方が全く違い驚いてしまった。

どうも、極右とポピュリズムの区別がされていない印象で、AfDの躍進を称賛する声も多く、ドイツが自分の国を守ろうとしているだけで、何も悪いことはない。。などと、ドイツや欧州の抱える問題を知らない人の声が多いのにはびっくりした。

AfDがどれほど差別的でナチスの信望者なのかは、日本の人には伝わっていない。日本の右派とは全く性質も違う。おそらく、ナチスの認識も相当違う。

ドイツにいれば、1年中過去のナチスの行為を恥じた、贖罪のTV番組が放送されているのは誰もが知っている。ドイツ人のトラウマだからだ。

そんなトラウマの思想を代弁している政党を支持するなんて、本当にびっくりする。

日本でAfDの躍進を称賛している人は、ドイツに住んでみれば、おそらく意見が180度変わるだろう。身に危険すら感じ、怯えながら暮らすなど想像もつかないだろう。

外国人としてドイツで暮らすことの大変さはもちろん、AfDのような政党が躍進している状況に恐怖すら覚える。

お隣フランスも右傾化が進んでいるが、抗議デモがちゃんと起きている。そこは、民主主義がきちんと機能しているということ。

勘違いしたAfDの支持者に、夜道を襲われても、全く不思議なことではない。

移民の排斥運動

そもそも、我々が貧しいのは移民を大量に受け入れたためだと主張していて、移民排斥運動、移民の送還計画など、現代においてとんでもない発想を持った政党だ。

もちろん、移民の大量流入で犯罪が増えたり、治安が悪くなったことは否定しない。しかし、ドイツ人がやりたがらない安い仕事や汚い仕事を移民は率先してやってくれているし、人手の足りない職種の現場では、ドイツの人のために働いているということを認識していない。

それを、職の安定を脅かすというプロパガンダで市民を煽る。

そもそも、仕掛けている方の人間は、エリートが多い。高学歴で高収入。

しかし、低所得者層の気持ちを代弁しているかのように、彼らの心情を利用して、議席を増やしているようなものだ。

実際には、権力がほしいだけで、低所得者や社会の底辺にいる人たちを見下しているし、移民を排除した後のドイツ社会の構造については考えていない。

さすがにそのような状況にはならないと信じているが、第2党がこのAfDということに、今でも驚いている。

そのような背景を知らず、「自国を守る政党が出てきて、何が悪い。日本もそうあるべきだ」と、ネットで意見している人は、もう少し勉強した方がいい。

日本の右派とは訳が違うし、ポピュリズムとも違う。はたまたアメリカのトランプとも違う。

日本は閉鎖的な島国だが、欧州は陸続きでいつ戦争に巻き込まれるかもわからない状況。

イスラエルとパレスチナの戦争も含め、この状況が続けば続くほど、政情も不安定になる。