メルツ首相率いるCDU
ドイツは、日曜日の総選挙でCDUが勝利を収めた。現首相のショルツ氏所属のSPDは第3位となった。
そして今回予想通り躍進を遂げたのがAfd党。
女性党首のバイデル氏が率いるこの党は極右政党とされ、152議席を獲得して第2党となった。
移民政策が争点となっていて、ドイツ各地で起こる移民による事件が報道されたこともかなり影響している。
増えすぎた不法移民を今後、アメリカのように強制送還するのか?ドイツで暮らす違法ではない善良な移民にも風当たりが強くなりそうだ。
連立政権はどうなるか?
CDUはどの政党と連立するのか?しばらくはこのテーマが話題になるだろうと思うが、第2党のAfdとは組まないとしている。
これはドイツ国会において、極政党とは連立を組まないという不文律があり、今回は連立を組むなら、第3党のSPDか緑の党が妥当だと思う。
ドイツ国内では、Afdに対するデモ行動も起きていて、穏やかではない。
人種差別主義者、ヒトラー崇拝者など、過激な文言をプラカードに掲げ、警察との衝突も起きている。
ドイツ人にとってのナチスの悪行は、いまだにトラウマになっており、こうした歴史の過ちを繰り返さないことが鉄則だ。
ドイツ国外のメディアもこのドイツ人の感覚は、分かりずらいと思うが、ドイツに暮らしてドイツ人と接していればいかにタブーなことかがわかる。
日本の識者も、Afdが主張する内容は極右ではなくごく普通の主張だとするが、例えば経済政策においてはBSWと同じような内容で、いわゆるポピュリズムである。
しかしながら、ナチス・ヒトラーの思想を肯定はしていないが、否定はしないというスタンスのAfd党に、大半のドイツ人は納得していない。
Afd支持の有権者は、躍進を遂げたが2割。もちろんこの割合はドイツにおいて大きな数字だが、ナチスの残党が入っていることを考えると、看過できない。
実際、選挙後のヴァイデル氏の宣言に驚いた。
「皆さんに手をかかげることがやっとできた!」
とドイツ語で発言したが、これはナチス式敬礼の意味と取られても仕方ない。おそらくそれを狙って発言したと推測されるが、タブーであるだけに、ドイツメディアも言及していない。しかし、皆気がついているだろう。ゾッとしてしまった。
これから、国内のE U内の分断が進み、場合によっては、我々日本人にとっても住みにくい国になっていくだろう。
外国人としてEU圏内で暮らしたことがあれば、この肌感覚はこれからひしひしと感じることが増えるだろうと思う。
日本でのメディア番組、コメンテーターも多くがAfd支持だが、アメリカのトランプ氏のそれとは異なる。
歴史的背景を知らずして、現状の生活環境を知らずして、ドイツの政治に無責任なコメントは非常に不快に感じる。
こうしてドイツ国内で分断が進めば、経済的にも治安的にも良くないのは明白であろう。その影響が日本にもいつか行く。それでも良いのか?
自分さえ良ければ、どうでも良いと思っているコメンテーターがほとんどだ。
まずはドイツ国内経済の立て直しができるか、ロシア・ウクライナの戦争をどう終わらせるかに時期政権はかかっている。
次の選挙までの下地を整えていけば、ドイツも4年後の政権に期待ができる。
まずはショルツ政権の残した課題を片付けることが優先だろう。





