ドイツのアパート、いろんな隣人
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単身後のアパートは趣のあるレンガ造りのアパート

ドイツ生活も数ヶ月が経ち、正式な住まいとしてアパートが決まった時の話です。

小学生か中学生の時に、社会科の授業で習ったルール工業地帯の話。そうドイツのデュッセルドルフやケルンエリアがまさしくそうで、その名残となっているアパートがありました。長めの通りに、レンガ造りのアパートがずっと並んでいて、古いですが、中は改装されています。

我々が借りたアパートも、元々は、このルール工業地帯の時代に建てられた、労働者の宿舎だったのです。現在は不動産会社が買い取り、中を改装して賃貸住宅として貸しています。地面も石畳の道で、いかにも欧州らしい雰囲気のエリアでした。

住んでいたエリアは、トルコ人が多い地域

しかし、ここはドイツ人には人気がないそうで、まだ土地勘のない我らはどうしてかなと思いましたが、その理由はすぐに判明します。つまり外国人が多いエリアで、特にトルコ系の移民が多く住んでいました。そのことはアジア人の我らにとっても好都合で、ドイツ人から変な目で見られることもなく、お互い外国人なので、変な気は使わなかったです。そして、トルコ系のスーパーには、アジア系の野菜や食材があり、それも日本人にとってはドイツのスーパーで売っている野菜よりも親しみがあり、便利でした。個人的にトルコ料理は日本人の口にも合うと思います。

ドイツ人の住人

それなのに、うちのアパートの住人は全員がドイツ人でした。3階建て5軒の家でしたが、下にはドイツ人の男性アーティストが一人住まい。そして、その横は犬を飼ったドイツ人の女性が一人住まい。お隣は、失業中のドイツ人中年男性。上の階も何をしているかわからない、週末音楽がうるさいドイツ人男性でした。

一番仲良くなったのは、下の階のドイツ人アーティストでした。彼は日本にも興味を持ってくれて、日本人の友人もいるとか。今では、アーティストとしてかなりいい線いっているようで、アメリカや日本でも彼の作品のファンが多いようです。日本の芸大にも招待されていたようで、彼の描いた絵をみるとそれもうなづける程の実力。確かに、すごい描写の絵が多いです。

そのお隣の女性は、どうやら昔、麻薬中毒でリハビリ施設に入っていたとかで、いまは社会奉仕の仕事をしているみたいです。家の中は、結構ぐちゃぐちゃでなんだかすごいなという印象でしたが、悪い人ではなかったです。

自分のお隣さんは、いかにもドイツ人といった感じのガタイのいい男性。言葉も少ないし、挨拶だけ。でも、週末のサッカーの試合をTVで見ているときは、ものすごい声で叫んでいました。失業中のようで、たまに派遣みたいな単発の仕事に出かけているようでした。

こうしてみると、ドイツ人の住人に囲まれていましたが、いわゆる低所得者層のアパートだったわけです。それでも、騒音やトラブルもほとんどなく、数年住みました。

注射器が落ちていた

そんな環境から、もちろん治安が良いエリアではなかったのですが、大通りに出ると週末の夜は、酒に酔って暴れている人や叫んでいる声は聞こえました。まあ、騒音にはあまり敏感でなかったので、気にはなりませんでした。しかし、ある日散歩に出かけると、家の横の芝生のエリアに注射器が落ちていました。そういう人もウロウロしているのかと思いましたが、出くわしたことはありませんでした。

治安が悪い証拠に、家の前に止めてあった自転車が盗まれたことはあります。太めのチェーンをつけていたのですが、無残にも切られて、自転車だけがなくなっていました。警察に届けるも、見つかるはずもなく、諦めました。

ケラーは壁が恐ろしくもろい

欧州のアパートや家には、ケラー(地下の倉庫)があります。賃貸アパートでも、1軒ずつケラーが割り当てられてて、使わないものや家具を入れておくことができます。広さはまちまちですが、ドイツのアパートはそこそこ広さもありました。しかし、建物自体が古いので、壁を触ると、ボロボロと砂が落ちてきます。レンガですが、元々は砂を固めてあるので、劣化している状態です。いつか崩れてしまうのではないかと怖かったのですが、住んでいる間にそういうことは起きませんでした。

砂っぽいということは、つまり埃っぽいので、なかなか長時間はいることができません。まあ、収納場所があるだけ良かったと思います。

今思えば、中を改装された状態で入居したものの、結構古い建物だったと思います。治安を除けば、アクセスも良く生活を始めるには十分な環境でした。